Flower Garden

今回は、スイセンを紹介します。

宮古島水仙
宮古島水仙

我が家の宮古島水仙です。
撮影は2002年8月22日です。

スイセン(水仙)

ヒガンバナ科
園芸分類:秋植え球根(鱗茎)
草丈:15〜50cm
花期:12〜5月
植えつけ:9月下旬〜10月中旬
掘り上げ:6月
用途:庭植え、鉢・プランター・コンテナ植え
主にスペイン、ポルトガルの地中海沿岸を中心に分布しており、日本にも古くから渡来して、現在では野生化しているものを見ることができます。
【特徴と性質】
スイセンの原産地は地中海沿岸地方から中近東にかけてで、原種として約50種が知られています。
我々が目にする園芸種のスイセンは、こうした原種の交配によって生み出されたものです。
原種のうち、ただ1つ「寒咲き日本スイセン」と呼ばれるシネンシスだけは、地中海地方から遠く離れた日本や中国南部から黒潮によって漂流したものが海岸に到着し、ここで自生が始まったものと考えられています。
事実、九州から関東地方にかけての太平洋沿岸、対馬海流が影響する山陰・北陸地方の沿岸には点々と自生地が見られ、中でも伊豆・下田、淡路島及び越前海岸は三大自生地として有名です。
スイセンは、球根に色々なアルカロイドを含んでいる有害植物の一種です。
有毒とはいえ、こうしたアルカロイドは薬用として利用され、乳房炎などに効果があります。
また花に含まれる成分は香料として利用され、南フランスでは現在でもなお重要な産業となっています。
【種類と品種】
現在イギリスの王立園芸協会に登録されている品種は1万数千種に及び、更に年々多数の新品種が追加登録されています。
現在では12のグループに分けて、分類・整理されています。

  1. ラッパスイセン群・・・1茎1花で、ラッパ(副冠と言います)は花弁と同長またはより長いもの。

  2. 大杯スイセン群・・・1茎1花で、副冠は花弁の1/3以上で花弁より短いもの。

  3. 小杯スイセン群・・・1茎1花で、副冠は花弁の1/3以下。

  4. 八重咲きスイセン群・・・1茎1花で八重咲きのもの。

  5. トリアンドルス交配群・・・原種トリアンドルスを園芸化したもの。

  6. キクラミネウス交配群・・・原種キクラミネウスを園芸化したもの。

  7. ジョンキル交配群・・・原種ジョンキルを園芸化したもの。

  8. 房咲きスイセン群・・・1茎に数花を付けるもの。

  9. ポエティクス交配群・・・原種ポエティクスを園芸化したもの。口紅スイセンとも言います。

  10. 原種、野生の変異型、自然雑種群。

  11. スプリット・コロナ群・・・副冠が切れ込み、花弁状になったもの。

  12. 以上のいずれにも属さないもの。

現在最も好まれているのは、ピンクスイセン(副冠がピンクのもの)と八重咲きのスイセンで、ピンクスイセンでは年々色彩の冴えたものや濃色のローズ、黄味を含まない真のレッドなどに改良が進められています。
また花弁が黄色で副冠がピンクという従来にはなかった色調のものや、有香の品種(ラッパスイセンやその仲間には従来、香りがありませんでした)も誕生しています。
一方ラッパあるいはカップが白で、花弁が黄色といういわゆる逆色スイセンというものがあり、これは野生種には全く見られない人工のスイセンで、最近品種が増え、更に色彩のコントラストの良いものも多く生まれてきています。
【栽培のポイント】
球根の選び方
手で持ってずっしりとした感じのものが充実した良い球根です。
同一品種、系統ならば、できるだけ大きな球根を選んだ方が立派な花が咲きます。
また表面や底部に傷があるものは避けます。
植え付け方
スイセンの根は意外と深くまで入るので、なるべく深くしてよく耕します。
間隔は球根と球根の間に1、2個入る程度にします。
ただ毎年掘り上げるならやや蜜植気味にした方が、開花時に間延びした感じがしなくなります。
2、3年間植えっぱなしにする場合は、もう少し間隔を広くします。
植え付けは寒い地方では9月下旬から、関東以西なら10月中旬頃が良く、遅くとも10月中には植え付けるようにします。
遅れると発根が遅れて球根の肥大を妨げることになります。
肥料は元肥えとして1平方メートル辺り化成肥料(10:10:10くらい)を100g程度施します。
有機質肥料はあまりよくありませんが、堆肥はやっても良いでしょう。
追肥は開花直前頃に元肥えの半量を施します。
掘り上げ、貯蔵
通常、葉の黄変が始まる6月以降が掘り上げの適期です。
晴天の日に丁寧に掘り上げます。
貯蔵中に乾腐病を発病しやすいので、掘り上げ後すぐに薬剤(ベンレートTか、ホーマイコートの1000倍液)液に1時間ほど浸して消毒した後、風通しの良い日陰に吊るして貯蔵します。
鉢、プランター作り
光線不足にすると葉ばかり茂って花が咲かないので、注意が必要です。
花を咲かせるには、寒さに充分合わせる必要があります。
水はけの良い所に植えると良いでしょう。
過湿にしすぎると球根が腐ることがありますが、乾かしすぎても根の発育が悪くなり株が弱って花付きも悪くなるので、芽が出る前も土の表面が乾いたら水やりをするようにします。
野生種やミニスイセンなどは鉢、プランター作りが適しています。(園芸品種の場合にはやや大きめの鉢、プランターを使用します)
7号鉢なら大球で3〜4個くらい、プランターなら10〜12個くらいが標準です。
小球性のものなら更に多く植えられます。
鉢土は排水の良いことが第一条件で、底に粗めの土を入れます。
肥料は液肥を時々施す程度で良いでしょう。
葉が出てからは土が乾燥しやすいので、灌水は再三行うようにします。
鉢の場合は掘り上げないで鉢ごと土を乾燥させれば、翌年は更に多くの花を楽しめます。

《スイセンの交配は誰にでもできると聞いたのですが・・・》
スイセンは花の構造が単純なので交配は簡単で、種を取りやすいものです。
開花後2〜3日目が交配の適期で、雌しべの先端に雄しべを塗り付ければ交配は完了です。
50日余りで種が取れますのでこれを乾燥して貯蔵し、秋早くに蒔いておけば5〜6年後には開花します。
《去年は咲いたのに、今年は葉ばかり茂って割かなくなりました》
球根が小さくなってしまったことが原因です。
何年も植えっぱなしにしておくと密生して球根が大きくなれず、花が咲かなくなってしまいますので、少なくとも2〜3年に1回は植え替えた方が良いでしょう。
一度小さくなった球根は2〜3年は花が咲かないことが多いので、しっかり肥料をやって球根の肥大を図るようにします。
また切り花の際に葉を切ると球根が肥大せず、翌年開花しなくなります。

花言葉は・・・「花づくり大百科」版
スイセン<白>(1月13日の誕生花):自己愛
スイセン<黄>(1月19日の誕生花):気高さ

Line

上記の文章は
「花づくり大百科」/主婦の友社刊

「すてきなフラワーガーデン」/主婦の友社刊
「花屋さんの花 ポケット図鑑」主婦の友社刊
を参照させていただきました。

[Flower Garden TOPへ戻る]

2005年6月17日更新