今回は、ツバキとサザンカを紹介します。
ツバキ、サザンカ
写真は友人のSさんから頂きました。五反野で撮った写真だそうです。
この写真だけではツバキかサザンカか判断しかねるのですが、ツバキとサザンカの見分け方のポイントは、毛です。
子房、若枝、葉柄に毛のあるものがサザンカです。
ツバキ科
園芸分類:常緑高木、低木
花期:9月下旬〜5月(ツバキ)、10〜12月(サザンカ)、11〜4月(ハルサザンカ)
用途:庭植え、生け垣、鉢植え、盆栽、切り花
【ツバキ、サザンカとは】
我が国に自生するツバキの仲間
ツバキとサザンカは古来より用材、薪炭、油、灰など、日本人の生活に密着した経済樹木でしたが、室町時代頃からは造園、鑑賞花木として注目され始めました。江戸時代に入ると、茶の湯や立花などの隆盛にも支えられて、流行の表舞台に登場するようになりました。
第二次世界大戦後は全世界にツバキブームが起こり、現在20余ヵ国が加盟する国際ツバキ協会を結成、隔年に世界大会が開かれるまでに発展しました。一方国内では1991年から、各地のツバキ趣味の会(60団体)と、ツバキやサザンカを町の花に選定している自治体(200余)とが相集い、毎年市町村持ち回りで全国椿サミットを開催。ツバキ、サザンカによる町興しや研究報告、及びその普及、啓蒙などについて話し合うようになりました。
ツバキ、サザンカの品種数は合わせて2300余り。花期は9月から翌年5月までで、早咲き、遅咲きの品種を集めると8ヶ月間も花を楽しめます。
【栽培のポイント】
排水さえ良ければ庭植え、鉢植えとも育てやすく、手数がかかりません。
苗木の選び方
ツバキ、サザンカの根巻き苗や鉢苗は、園芸店では10月頃より4月まで販売されます。
根巻き苗、鉢苗共に、細根の多いものが良いのですが、実際には藁や麻布、鉢で根部の状態が分からないので、苗木全体の様子から判断をします。
まず、葉の緑が濃くて光沢の良いもの。
枝は太くて節間が詰まっているもの。
充実した葉芽(タケノコ芽)があり、しかも蕾がつきすぎていないもの。
病害虫に侵されていないもの。
などは両者の苗に共通したことです。
植え付け場所
ツバキ、サザンカの根は共に好気性ですから、何よりも排水の良い所が第一条件です。排水不良の土地では排水溝を作り、盛り土をして植えます。排水の悪いコンクリートブロック塀際では、数年を経て根腐れを生じ、次第に枯れ込んできます。
充分に根付くまでは半日陰が好ましく、根付いた後は西日を受ける所でもよく育ちます。
植え付けの時期
春季(3月中旬〜4月中旬)、梅雨期(6月中旬〜7月中旬)、秋季(9月中旬〜10月中旬、下旬)と、年間3回の適期があります。このうち梅雨期は植え傷みがなくてよく活着しますが、あいにく園芸店にはこの時期、店頭に苗木を置いていません。
植え付けの方法
根鉢の2倍以上の植え穴を掘ります。
穴底へは元肥え(乾燥鶏糞1リットル、堆肥3リットル、化成肥料0.2〜0.3リットル)を入れ、底土とよく混ぜます。
この上に掘り上げた土を少し戻して、根が肥料に触れないようにします。この戻す土の量で植える苗木の高さを調節し、深植えにならないように注意します。
根巻きの材料が腐りやすいものなら、溶かずにそのまま植え込みます。この時、元の地面より10cmほど高くなるように植えます。
80%以上の土を埋め戻したらホースで水を注入し、植え穴に溢れるほどにします。
苗の株元を揺すって、根鉢を落ち着かせます。
水のあるうちに残りの土を戻し、穴を埋めます。
支柱をし、根元に藁などのマルチングをし、軽く灌水します。
日射しや風の強い所へ植えたものは発根、活着するまでの2〜3ヶ月間は、二重の寒冷紗で周りを覆います。
根の良くないものは、思い切って枝葉を切り詰めます。
植え付け後の管理
ツバキ、サザンカの新根発生は他の花木に比べて遅く、普通3週間前後かかります。根つけば滅多に枯れないツバキ、サザンカも、植え付け直後の水のやりすぎはいけません。植え付け時に充分水をやってあるので、その後は特にひどい乾燥が続かない限り、水やりの必要はありません。水のやりすぎは根が窒息状態に陥り、新根が伸びにくく、伸びた新根が腐る原因になります。
肥料
植え付け1ヶ月後に乾燥鶏糞か緩効性肥料を少量、マルチングの下に置き肥えとして与えます。翌年からは早春に1回、乾燥鶏糞を施します。
病害虫
花腐れ病(菌核病)、もち病、チャドクガ、チャノミドリヒメヨコバイの幼虫などが発生します。花の終わった直後から10月にかけて定期的に薬剤散布を行いましょう。
【増やし方】
挿し木と実生で増やします。
挿し木の適期は6月下旬〜7月下旬ですが、8月以降10、11月でもよく発根します。3〜4月の花期はユキツバキ系品種の活着が良く、ヤブツバキ系は不良です。
実生は、9〜10月に採種したらすぐに一晩水に浸し、翌日、小粒の赤玉土やバーミキュライトまどの用土を使い、鉢やポリとろ箱に播きます。
ツバキ、サザンカは他家受粉をするので、園芸種のタネを播くと必ず親木とは違ったものになり、3〜4年で花をつけます。
【整姿、剪定】
剪定の時期は3〜4月。花が散ってから芽が動き始めるまでに終えます。花芽は春に伸びた新梢の頂部に6月頃作られるので、7月以後に剪定をすると花を見られなくなります。
剪定には、木が茂ってきたため枝を透かす間引き剪定と、樹形を整えるための切り戻し剪定があります。
間引き剪定は不要な枝を、その付け根から切り除くことです。それによって通風や日照が良くなり、病害虫の発生が予防でき、残った枝に養分が集中して木も元気になります。
切り戻し剪定は、樹形を小さくしたり一定の大きさを保つために、伸びすぎた枝を切り縮めて形を整えるもので、庭植え、鉢植え共に重要な作業です。
残った枝や芽に養分が集中するので、鉢植えでは特に良い花が咲きます。
【鉢植えの育て方】
近年ツバキ、サザンカの鉢栽培がブームです。鉢で育てると3〜4年生の小苗からよく花が咲き、狭い庭でも多くの品種を楽しめます。寒さに弱い金花茶や香りのあるミニツバキも冬でも室内で冬中花が楽しめるなど、庭植えにない長所があります。
用土
鉢栽培にふさわしい用土の条件は排水と通気が良く、水もちの良いこと、病菌のないことです。特にツバキ、サザンカの根は加湿に弱いので、排水と通気の良い粒状の用土は欠かせない条件です。
日向土と鹿沼土を主体に赤玉土、パーライトを混ぜたものを使用すると、水をやりすぎても滞水しないため根腐れを起こさず、用土も風化しません。
鉢植えに花芽をつかせるコツ
花芽は春に伸びた新梢に6月頃できますが、その花芽のできる前、5月中旬〜6月上旬に鉢の水やりを控えめにする(水の量を減らすのではなく、水やりの間隔をあけ、新梢が夕方には軽く垂れるようになるまで水をやらず、与える時はたっぷりとやる。この期間はそれを繰り返す)と、日射量や肥料には関係なく、花芽ができるのです。
6月上旬を過ぎたら通常の水やりに戻します。鉢替えは5〜6号の場合、3年毎で充分です。1年生の草花用土として推奨される赤玉土と腐葉土の混合はツバキ、サザンカには不適です。
《鉢植えの時は毎年花をつけたのに、庭に植えたら花がつかなくなってしまったのは何故でしょうか?》 |
花は本来子孫を残すために必要なもので、大変な栄養分を消耗します。植物は体の未熟な時にはまず、自身の体を育てるホルモンが働きます。また植え替えた後に根の傷みが回復し、若返りつつある時も同様です。これは言い換えると木が元気に育っていること、元気がついてきた証拠で、木のためには喜ぶべきことなのです。 それでも花を咲かせたいという時は、3〜4月に株の周りの根切りをしてやります。こうすると根からの水の吸収が抑えられるため(鉢植えの水やりを控えた時と同様の効果で)、春に伸びてきた新梢に花芽がつきます。 |
花言葉は・・・「花づくり大百科」版
・ピンクのツバキ(1月12日の誕生花):贅沢・おしゃれ
・白のツバキ(2月14日の誕生花):至上の愛らしさ
・ピンクのサザンカ(11月3日の誕生花):困難に打ち勝つ
・白のサザンカ(12月4日の誕生花):ひたむきさ
・赤のツバキ(12月10日の誕生花):謙遜の美徳
上記の文章は
「花づくり大百科」/主婦の友社刊
を参照させていただきました。