Flower Garden

今回は、サボテンを紹介します。

サボテン

サボテン
写真は友人のSさんから頂きました。自宅で撮った写真だそうです。
種類は分かりませんが、花はクジャクサボテンに似ているような気がします。
でもサボテンの形が異なるので、違う種類のようですね。
花の直径は17〜18cmくらいで、サボテン本体は15〜16cmくらいの球状です。

【サボテンとは】
一般にサボテンと呼ばれている植物には、狭義と広義の2通りの解釈があります。
狭い意味では、植物学上の「サボテン科」と呼ばれる1つの科に属する植物を指します。広い意味では、植物学上の「サボテン科」と似たような形をしたり、よく似た条件で育つ「多肉植物」と呼ばれる植物とを合わせたものを指します。
サボテン科の植物も多肉植物ですが、1つの科で3000種ないし5000種もあるので、多肉植物から独立して扱われています。
外国では昔から「サボテンとその他の多肉植物」と呼ばれていたため、日本でもそのまま採用して「サボテンと多肉植物」と呼んでいるのです。
サボテンは、長い乾期に備えて水を蓄えるために、その茎が肥大して独特の形をしています。また、サボテンの多くは「トゲ」を持っていますが、トゲは葉や枝の変化したものと言われています。トゲの役目は、

  1. 動物に食べられないため。
  2. 鉤形のトゲのもの、動物の体に引っ掛かって場所を移動するため。
  3. 自分の体に日陰を作るすだれの役目。
  4. 毛やトゲは水を集める役目と、自分の体に直接水がつかないようにするレインコートの役目をする。
  5. 白いトゲや毛は太陽光を反射して、体の温度が高くなりすぎるのを防ぐ。

などが考えられます。
【サボテンの故郷】
サボテンの故郷は、南北両アメリカ大陸とその付近の島々に限られており、水平分布では、北は北緯50度を超えたカナダの寒冷地から、南は南米大陸の南端の南緯55度近いフエゴ島にまで及ぶ広範囲に原産します。垂直分布では、海岸から万年雪のあるアンデス山脈の4000mを超える地域にまで及んでいます。
ただ例外としてアシサボテンのある種はアフリカ、マダガスカル島、マスカリーン諸島、セーシェル諸島からスリランカに及んでいます。
以上のことからサボテンを熱帯植物と考ず、むしろ気候の良い温暖帯の植物と思って育てると良いでしょう。
サボテンの名前
サボテンには、それぞれ名前がついています。日本語でつけられたものも多く、これは原則的に日本中に通じ、横文字の名前は世界共通なのです。
疑問があって教わる時、名前がわかればすぐに答えが出せますので、名前は大切に・・・・・・。
【サボテン栽培】
上手な栽培のポイント
サボテン園芸の基本は次の通りです。

  1. サボテンは日が当たらないと育たない。
  2. サボテンの大部分は熱帯植物ではない。
  3. 夜温の高いのを嫌う。
  4. ビニールハウスやガラス室で作るのは、保温もさることながら、寒風や雨よけと考えること。
  5. 自生地では雨期と乾期が明確で、雨期に吸収して貯水し、乾期には休眠する。休眠期に水やりすると腐死することが多いので断水するが、日本では温度の下がる冬季(11〜3月)に断水して強制的に休眠させる。
    寒冷地や冷涼地原産のものは夏の高温多湿を嫌うので、夏季に断水して休ませる。
  6. 冬季、加温して高温にしすぎると花つきが悪くなったりする。特別なものを除いては、5〜7度あれば充分。早めに断水(関西地方では11月中旬頃)すれば0度になっても大丈夫(幼苗を除く)。
  7. 培養土の過湿を嫌うため、鉢土の表面が乾いてもすぐに水を与えない。

置き場所
鉢数の少ない間は、家の東か南側の日の当たる軒下などに置きますが、数が増えてくると専用の場所が必要になってきます。理想はビニールハウスかガラス室などです。これらの場所は風や雨よけ、塵よけだと思って下さい。
スペースの小さいものは日が当たればすぐに高温になり、日が翳ると急速に温度が下がるため。植物にとっては良くない環境で育てにくく、ビニールハウスやガラス室を作るのであれば、なるべく容積の大きいものにします。
日照と遮光
サボテンは「太陽の子」と言われます。30分でも1時間でも長く日の当たる所に置きます。全く日の当たらない所ではサボテンの栽培はできません。サボテンの体内の90%は水分ですから、一定以上の温度があれば水をやらなくても生育します。日が当たらないと徒長して形が崩れ、球状のサボテンでも細い棒状になってしまいます。
日光を好む反面、日本の夏の熱帯夜が苦手です。自生地では昼は日本より高温でも、夜になると15度以下に下がります。日本では夜の高温のためサボテンが衰弱するため、遮光して光線を弱め温度の上昇を抑え、エネルギーの消耗を防ぎます。
6月から9月は目安で30%遮光し、7月、8月は寒冷紗を2枚重ねて約50%遮光すると良いでしょう。
温度と通風
サボテンは我々人間と同じで、暑すぎるのと寒すぎるのを嫌い、春や秋の気候の良い時期に生育します。従って夏はいかに通風を良くして温度の上昇を抑えるか、冬はできるだけ保温して温度の下がりすぎを防ぐかが肝心です。
冬季。加温するにしても最低温度を5〜7度より下がらない程度にし、特殊なもの(メロカクタス属など)を除いてそれ以上の高温は必要ありません。
霜の降りる前に室内に取り込み、水やりを10日に1回か、時々断水すれば充分越冬します。
培養土
培養土は各地方によって入手しやすい用土を見つけ、各人が工夫をするのが建前ですが、通気、排水が良いことが第1条件です
基本用土としては赤玉土、鹿沼土、用砂(以上はいずれも1〜5mmの小粒)、軽石(日向土、パミスなどの中粒)、パーライトなどで、これにサボテン用のピート、ピートモス、完熟乾燥牛糞を混ぜます。
それぞれの用土は性質が異なり、長所、短所があるため、多種類のものを混合して短所を補い合うようにします。割合は等量ずつが目安です。市販のサボテン培養土は大抵これに準じたものです。
培養土はなるべく統一しておくと、後の管理が楽です。
培養土は必ずしっとりと湿らせて用います。
肥料
サボテンは生長が遅いため、草花や多年草などのようには肥料は与えません。その代わりに毎年植え替えをします。肥料が効きすぎると球体が裂けることがあります。
例外として生長の速いコノハサボテン類、ウウチワサボテン類は生育期に月1〜2回液肥を与えます。
またクジャクサボテンは花後から7月まで、シャコバ(カニバ)サボテンは4〜7月の間、月2〜3回、月下美人は4月から9月いっぱいか10月まで、やや薄めの液肥をいずれも水やり代わりに与えます。
サボテンに合う鉢
栽培しやすいのは駄温鉢ですが、堅焼き鉢やプラスチック鉢でも大丈夫です。
それぞれの鉢によって培養土の乾き具合が異なり、駄温鉢は鉢からも水分が蒸発しますが、プラスチック鉢では鉢土の表面からのみになります。
他の植物と違って、鉢はやや小さめにします
市販されているサボテンの鉢が小さいのはわざと小さくしているので、大きい鉢に植え替えると失敗します。
水やり
植物を育てるのに一番難しいのは水やりですが、サボテンも同じです。ただサボテンは他の植物のように水が切れてもすぐに枯れることはなく、市販の鉢植えのものは数ヶ月水をやらなくても枯れることはありません。
反対に他の植物と一緒に置いて同じように水やりすれば、サボテンは腐死します。
寒冷地のサボテンは暑さに弱く、夏に水やりをしない代わりに冬に少しは水やりをするものもありますが、これはサボテンを栽培している経験者に教わったり、地元の同好会やクラブに入会するか、専門業者から購入する時に聞いたり本で調べます。
水やりで多くとか少なくと言いますが、1回の量は冬を除いてたっぶりと与え、多くとは水やり間隔を短くし、少なくとは間隔をあけることを言います。
植えつけと植え替え
サボテンは5号鉢以下のものは原則として毎年植え替えます。またサボテンは通信販売でも購入が盛んですが、この場合は大抵培養土を全部落として送ってきます。近頃は鉢植えのまま宅配便で送ってくることもありますが、植え替えに不適当な時期(多くは低温期)以外は土を全部落として自分の好みの培養土で植え替えます(培養土が揃っていると管理が楽)。
植えつけ、植え替えの仕方

  1. 1週間ほど断水して培養土をよく乾かす。
  2. 鉢の周囲を握りこぶしで叩いて根を鉢からはがし、株を鉢から引き出す。
  3. 根についた培養土を、根を傷めないように指や竹箸などで綺麗に取り除く(根は少々切れても良い)。
  4. 根を株の大きさによって長さ3〜5cmほどに切り詰める。
  5. 新しい鉢か綺麗に洗った鉢に、防虫網を四角に切ったもので鉢穴を塞ぎ、排水を良くするため、パーライトや軽石、小石などを底に入れる。その上にしっとりと湿らせた培養土を1〜2握り入れる。
  6. 根を四方に広げるようにして株を入れ、湿らせた培養土を周囲から入れていく。培養土は箸などで強く突き込んだり、指で押し込んだりせず、軽くトントンと鉢を地面に打ちつけ、土を落ち着かせる程度にする。
  7. 植え込んだ後1週間は水やりをしない。1週間目に天気が良ければたっぷりと水やりし、更に1週間放置し、2週間目にまたたっぷりと水をやり、以後は土の表面が乾いてから1〜2日待って水やりをする。
  8. 購入株を植えつけたものは1週間ほどティッシュペーパー1枚で覆っておくと良い。

増やし方
《実生》(タネから育てる)
サボテンの実生は、草花などの実生とは異なります。
タネがサボテンの専門業者でないと入手できないこと、播く手順が異なっていること、生長が極めて遅いことなどです。

  1. 実生の適期は4〜6月、9〜10月。
  2. 播き床は川砂、バーミキュライトなど、川砂は1mm程度で、必ず熱湯をかけるか蒸し器に入れて蒸して滅菌し、冷やした後、タネを播き、覆土はしない。すりガラスで蓋をして、浅く腰水をして日の当たる所に置く。
  3. 毎日見て発芽が始まったら、マッチ棒を挟んで中が蒸れないようにする。
  4. 発芽が始まったらすぐに細粒の培養土に植え替えていく方法と、1ヶ月そのまま育てた後、培養土に植え込む方法、更に、播き床の下部に培養土を入れ、その上に1cmほど無肥料の砂かバーミキュライトを入れてタネ播きして6ヶ月ほど育てる、など人によって様々です。

《挿し木》
サボテンの増やし方には、実生の他に挿し木が極めて重要です。それは実生によると自然に交雑している場合がありますが、挿し木ですればその心配がなく、間違いなくその形質を受け継いだ植物を繁殖できるからです。
また挿し木が容易であることと、自然に子球(枝)を出すものが多く、自然に子吹き(子球を出すこと)しないものでも生長点を切り取ったりして強制的に子吹きさせて、挿し木をすることによって比較的容易に繁殖できます。
親株から子球を切り取り(簡単に取れるものもある)、切り口を7〜10日ほど乾かして、培養土に少し押し込んでおくだけで発根してきます。水やりが多いと腐死しますが、乾き気味にすると、水を求めて根を積極的に出してきます。
サボテンの下部(根ぎわ)は、多かれ少なかれ老化して茶褐色になります。特に植え替えせずにおくと、老化部分が上の方まで上がり、形も間伸びしたものになります。その場合、胴体の高さの1/2か2/3の所で横に切って(胴切りと言う)、切り口を15〜30日乾かして挿し木して形を整え、更新します。
《接ぎ木》
接ぎ木をするのは、日本では自分の根で生育できないもの(緋牡丹など)や、根腐れした株の上部を切り取って丈夫な種類に接ぎ木して育てる場合などがあります。
また開花まで10年、15年かかるものを接ぎ木することで数年早く開花させることができ、タネが取れるなどの利点があります。
ただ樹木と異なり、接ぎ穂と台木の形が全く違ってしまい。見た目が悪いという欠点があります。
台木の選び方
ウイルスに侵されず、丈夫で生育が速く長命なものを用いますが、一般に次のものが用いられます。
『三角柱』・・・三稜の柱サボテン。接ぎやすいのですが、低温に弱いのとやや短命なのが難。
『竜神木』・・・五稜形の柱サボテン。半永久的台木。
『短毛丸、花盛丸』・・・球形種。寒さにみ強い半永久台木。
以上の他にコノハサボテンの杢キリン(シャコバサボテン、イースターカクタス、金紐など、球形種も接げる)、ウチワサボテンの宝剣(生育は速いが違和感が大きい)などがあります。
接ぎ木の仕方
必ず維管束が1、2ヶ所重なるようにします。
病害虫と防除
病害虫防除の薬剤は必ず、風のない日の曇天または早朝か、夕方日没後に行い、自宅はもとより近隣の換気扇を止めてから散布します。
《カイガラムシ》
カイガラムシには種類が沢山ありますが、サボテンによくつくのは2mm内外の扁平なものが多く、5月から9月の間、浸透移行性のカルホス乳剤を月1〜2回散布して、孵化幼虫を殺します。親虫は見つけ次第歯ブラシでこすり落とすか、つまようじなどで捕り去ります。
《ワタムシ》(コナカイガラムシ)
主に生長点付近につき、吸汁加害の被害があります。浸透移行性の殺虫剤を月1〜2回散布します。
《ネジラミ》(サボテンネコナカイガラムシ)
根に白い綿状のものがつき、中に小さなカイガラムシがいます。ダイシストン粒剤を培養土に混ぜます。月1回、希釈した殺虫剤を培養度にたっぷりと注ぎます。
《アカダニ》(サボテンヒメハダニ)
サボテンの表皮が次第に退色し、やがて茶褐色になります。生長点付近に多くつき、退色すると直らないので常に注意します。
体長0.3mmで赤く、高温乾燥を好む虫です。一般殺虫剤は無効で、ダニ専用の殺虫剤(ケルセン、アカールなど)を散布します。
《ネマトーダ》(ネコブセンチュウ)
根にコブを作ります。植え替え時に発見できます。コブのできた根を切り捨てるか、株際から根を切って新根を出させます。
草花のマリーゴールドを一緒に植えると、防虫効果があると言われています。
《すす病》
トゲの根元に黒いかびがぐきます。ワタカイガラムシの排泄物に菌がつくことが多く、虫を退治すると自然に治ります。
【楽しみ方、利用法あれこれ】
サボテン園芸の魅力はその千差万別の姿、形、トゲの色などに魅せられて集める楽しみ、時には華麗な花や花色を楽しむことと、それを育てることでしょう。
最近では姿、形の面白さからインテリアの鉢物として人気があります。
食用
メキシコではウチワサボテンを野菜として、果実は果物として利用します。日本でも宮崎のシャボテン公園ではウチワサボテンの奈良漬、ピクルスなどに加工して、土産物として売っています。
近年、輸入果物店ではカクタス・フルーツの名前で3〜4種が売られています。
【サボテンの種類】
サボテンはその品種の数が3000種とか5000種とか言われ、初めは手当たり次第に集めると思いますが、そのうちに目標が決まってきます。例えば1つの属を集めるとかトゲの白いものを集めるなどです。
初心者向けのサボテン
とかくサボテン園芸では姿、形の奇異なものに走りがちですが、最初の1〜2年は育てやすいもので基本を勉強するべきです。
変化があり花も楽しめる作りやすい種類を、目的別に紹介しましょう。

  1. 花を楽しむ
    海王丸、紅蛇丸、新天地、翠晃冠、多花玉、緋花玉、ブンゲンス、羅星丸。(以上ギムノカリキウム属)
    黄金丸、金剛丸、朝日丸、銀紗丸、白絹丸、月影丸、玉翁、白王丸、白神丸、松霞、夢幻城など。(以上マミラリア属)
    青王丸、芍薬丸、小町、獅子王丸、ヘルテリー。(以上ノトカクタス属)
    その他の花もの
    美花角、宇宙殿、白檀、紅鮮麗玉、花鏡丸、優宝丸、錦宝丸、紅鳳丸、金繍玉、緋繍玉、金星、芳姫丸、月宮殿、ジョンソン交配種の星條旗、マリー・パトリシア、モーニング・グロリーなど。
    シャコバサボテン、イースターカクタス、クジャクサボテン、月下美人。
  2. 姿、形を楽しむ
    有星類(アストロフィツム属)の兜丸、鸞鳳玉、般若、大鳳玉、瑞鳳玉など、この仲間は端整な姿で花も美しく、全くトゲを持たないものもあり、昔から人気の的になっています。栽培も容易です。
  3. トゲを楽しむ
    サボテンは花や形もさることながら、やはり神髄はトゲだと思います。その中でも強刺類と言われるエキノカクタス属、フェロカクタス属、ホマロケファラ属などは、赤色や黄色の剛刺で見事です。ただ唯一残念なことに、赤色のトゲは気候や日照などの違いで早く色が褪せてしまいます。鯱頭、日の出丸、金赤竜、竜眼、真珠、巨鷲玉、江守、綾波などが赤トゲを持つタイプです。黄色のトゲでは、サボテン中のサボテンと人気のある金鯱につきます。形良し、トゲ色良し、病害虫も少なく作りやすい種類です。
  4. ユーモラスな毛を楽しむ
    毛柱類
    強刺類とは反対に、毛髪状の細く柔らかい白毛に覆われるハシラサボテンを言います。翁丸、幻楽、老楽などで、高温多湿を嫌うので夏季は断水し、冬季は充分日光に当て、週1回程度水やりをします。
  5. 斑ものを楽しむ
    緑色の肌をしたサボテンに赤色や黄色の斑模様が入り、美しいものがあります。球体全部が斑になったもの(全斑と言う)、緋牡丹、黄牡丹、山吹など。
    その他の斑入り種
    世界の図、緋牡丹錦、翠光冠錦、新天地錦、海王錦、耕花錦、兜錦。

花言葉は・・・「花屋さんの花 ポケット図鑑」版
シャコバサボテン(12月10日の誕生花):つむじまがり

Line

上記の文章は
「花づくり大百科」/主婦の友社刊

「花屋さんの花 ポケット図鑑」/主婦の友社刊
を参照させていただきました。

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