ボコの夢

「おおーい!ラムザ、大変だぁ。」

外へ剣の稽古に出かけたゴルドンが慌てふためいて戻ってきた。

ゴルドンがこんなに慌てているなんて珍しい。

「息せき切ってどうしたんだい?」

「そんなのんきな顔をしている場合じゃないぞ、ラムザ。」

「だからどうしたのよ?まずは落ちついて話して、ね?」

ステファニーがゴルドンを落ちつかせようとする。

「はぁ、はぁ。」

「で、一体全体どうしたんだい?」

「今、剣の稽古をしに外へ出てみたら、ボコがいないんだ!」

「えっ、ボコが?」

「なんだよ、ちょっと食いモン探しに行ったんじゃないか?」

ディロンが口を挟む。

「そうよ、きっとすぐに戻って来るわよ。」

アリシアが頷きながら言う。

「そうだね。もう少し待ってみよう。」

 

ところがそれからいくら待ってもボコは戻っては来なかった。

 

ラムザが立ち上がる。

「僕、探しに行って来るよ。」

「じゃあ、俺も一緒に行くぜ!ラムザ一人じゃ心配だからな!」

「ありがとう、ディロン。」

「ちょっと待ってよ。ディロンがついて行ったら余計心配じゃない?」

「なんだとぉ!アリシア!」

「分かったわ。じゃあ私も一緒に行く。」

「ステファニーが一緒なら安心よねえ。」

「ふんっ。」

「じゃあ、行こう!」

 

「ふん、アリシアの野郎。覚えておけよ!」

「ディロン、それどころじゃないわよ。早く探し出してあげないと・・・。」

「分かってるぜ。」

しばらく辺りを探していると、ふとラムザが思い出したように言った。

「そういえば・・・。」

「えっ、何?」

「昨日の夜から何だかボコの様子がおかしかったんだ。」

「そうだったっけか?」

「そういえばそうね。」

「あの絵本を読んであげてからだ。」

「絵本?」

「あっ、あれね。異世界のチョコボレースで活躍するチョコボの話。」

「うん。」

 

「・・・こうしてウィンドアロー号はチョコボレース会の英雄になったのでした。おしまい。」

「クエッ!w(゜o゜)w」

「クエエッ! o(^-^)o

「クエェ〜。(T_T)

「どうしたんだ?ボコ。」

「クエエ〜〜。」

 

「そういえばいつもと様子が違っていたわよね。」

「あの後しきりに外を見ていたっけ・・・。」

「あっ、もしかしたら・・・。」

「何?」

「ボコもチョコボレースに出てみたいんじゃ?」

「そんな馬鹿な!チョコボに絵本の内容が理解できるのか?」

「分からないわよ。ボコは頭がいいんだから。」

「絵本のレースの会場は草原だったな。」

「よし、行ってみよう!」

「ラムザ、どこに行くんだ?」

「いいから、ラムザについて行くわよ!」

走り出したラムザの後をディロンとステファニーは夢中で追いかけて行く。

 

「はあ、はあ。」

「いたっ!」

ラムザの視線の先には生き生きと走り回るボコの姿があった。

「おおーい!ボコぉ!」

ラムザの呼びかけにボコが振り向いた。

「クエエーッ!(^O^)

ボコがうり坊の如く突進して来る。

「クエッ!」

「うわあーっ、ボコ。何するんだ?」

ボコはラムザの首根っこを咥えると背中へと乗せたのだった。

「クエーッ!」

「分かったよ。思いっきり、走れーっ!」

ラムザはボコにしっかりしがみついた。

「クエッ!!」

途端にボコはこれまでに見たこともないようなスピードで走り出した。

「頑張れ、ボコ!」

「すごいぜ!ボコってあんなに速く走れたんだ!」

「ボコもラムザも嬉しそうね。」

ステファニーが微笑む。

 

「ゴーール!」

ディロンが叫ぶと、ボコの背中からラムザが降りてきた。

「おめでとう、ボコ。1等賞よ。」

ステファニーがボコの頭に花冠を載せてやる。

「クエッ。クエエーッ!\(^o^)/」

「良かったな、ボコ。」

ボコはとても満足そうに見えた。

「さってと、腹が減ったから帰るぜ!」

「そうね。みんな心配しているでしょうから。」

「クエッ!」

 

その晩、ボコの寝言と寝返り?に皆悩まされた。

「くっそー、うるさくてちっとも眠れねえ。」

「まあ、今日一日は許してあげようよ。」

ラムザが笑いをこらえられないといった様子でくすくす笑いながら言う。

「そうね。こんなに幸せそうなんだものね。」

「ちぇっ、こいつきっと夢の中でもレースに出てんだぜ!」

 

「クエエーッ!!」

次の日の朝、ボコの一声で目を覚ましたラムザ一行であった。

平和な光景を書いてみたいと思って・・・。
大好きなボコを主役にしてみました。
日付を見てもらえば分かると思いますが、かなり前に会社で書きました。(笑)
最近FFTコーナーを更新していないので、緊急にアップ。(^-^;

2000.03.30


FFT