絆2

「蘭、蘭だろう?どうして俺から逃げるんだ。待てっ、蘭!」
(くっそう、どうしていつもこうなんだ。でも今度こそ蘭を連れ戻してみせる!)
「地の青龍・・・。」
「えっ?何で俺をそんな風に呼ぶんだ?蘭・・・。」
「お前はめざわりだ。お館様に逆らう者は死んでもらう。」
「蘭、目を覚ませ!お前はアクラムに操られているんだ!」
「出でよ、天狗!地の青龍を葬れ!」
「やめろ、蘭!」
(くそ、どうすればいいんだ。しかも俺の苦手な天狗ときた・・・。)
「くっそー、やるしかねえ!行くぜ!」
「うわぁ!何て強さだ。やっぱりあかねがいないと駄目なのか・・・。」
「ううっ・・・。意識がだんだん遠く・・・。ごめん。蘭、お前を助けてやれそうにない・・・。」

「天真くんっ!」
「大丈夫か、天真!おのれ、鬼め!天真の気持ちを利用するとは・・・。許さん!」
「大丈夫?天真くん!」
「・・・あ、あかね。かっこ悪いな、俺。結局1人では何にもできないんだな・・・。」
「そんなことないよ、天真くんの気持ちはきっといつかランにも通じるよ。」
「サンキュ、あかね。」
「ぐああっ。」
「頼久さん!」
「くそ、俺のために頼久まで・・・。あかね、手を貸せ!」
「でも天真くん、そんなにひどい傷なのに・・・。」
「相棒が必死に戦っているのを見殺しにしろっていうわけじゃないよな?」
「分かったわ。行くよ、天真くん!」
「おうっ。」
「天真、大丈夫なのか?」
「お前こそ、辛そうだぜ。」
「お互いにな・・・。」
「フッ・・・。」
「2人とも、しっかりして!」
「必ず守ってやるからな。」
「ここは私にお任せ下さい。」
「行けるか?頼久。」
「ああ。」
「東天小陽!木の気よ、ここに集え!降三世明王の名の下に!」
「ぎゃあーっ!!!」
「やったか・・・。」
「ああ。」
「あ・・・。ランが・・・。」
「お館様が呼んでる。」
「待てっ、蘭ーっ!」
「消えた・・・。」
「くそっ、また駄目だった・・・。」
「天真くん、次があるよ。現に蘭は時々笑顔を見せてくれるようになっているし、きっと元に戻る日がやってくるよ。その日まで頑張ろう、天真くん。」
「ああ・・・。」
「・・・・・・天真。私の話を聞いてくれるか?」
「何だよ、あらたまって・・・。」
「私にはかつて兄がいた。立派で私にとっては父親のような存在だった。だが、私の過ちのせいで兄は命を落とした。私が兄の言うことをきちんと聞いてさえいれば・・・。」
「頼久・・・。」
「だから、兄弟を失う悲しみを、私は誰よりも理解しているつもりだ。」
「頼久さん・・・。」
「兄を亡くした私は自暴自棄になっていたこともあった。そして兄のことを忘れるために、いや、むしろ兄の素晴らしさを忘れないために・・・兄のような人間になるべく、私は武道に打ち込んできた。兄の教えを忘れないよう、心に深く刻み込んで・・・。」
「・・・・・・。」
「だが、そんな私にも今は守るべき者がいる。大切な仲間がいる。だからこそ、ここまでやって来られたのだ。」
「頼久・・・。」
「八葉は誰か1人が欠けても成り立たない。8人揃ってこその八葉なのだ。」
「ああ・・・。分かるぜ。すまなかった・・・。俺、どうかしてた。妹のことで我を忘れて、お前らにまで迷惑かけて・・・。」
「分かってくれたのならいい。とにかく、私達が・・・仲間がいることを忘れるな。」
「ああ。・・・これからも宜しく頼むぜ、相棒。」
「フッ・・・」
「天真くん、頼久さん・・・良かった。」
「・・・み、神子殿?どうなさいました?」
「おい、あかね、泣いてんのかよ。」
「だって、2人とも無事で・・・。」
「・・・・・・さ、さてとっ、 帰ろうぜ。今頃藤姫がさぞかし心配しているだろうからな。」
「あっ、そういえばもうこんなに暗く・・・。急ごう、天真くん、頼久さん。」

藤姫の館に戻った私達は心配をかけたということで、藤姫に謝りまくった。
藤姫の目には涙が光っていた。
まだ幼い藤姫に心配をかけて、悪いことをしちゃったな。
でも、天真くんと頼久さんって正反対のようでいて、やっぱりどこか通じるものがあるんだろうな。
天狗との戦いの時なんて、息がピッタリだったし・・・。
良かった。
もうこんな時間だ。
明日からまた鬼との戦いがあるし、もう寝ることにしよう・・・。

・・・・・・。
・・・・・・。

「神子様、神子様。お休みのところ申し訳ありません。」
「えっ、何?」
「それがその・・・。天真殿と頼久が・・・。」
「何?どうしたの?」

「何だと?頼久!昨日はああ言ったけどな、俺にだってプライベートってものが・・・。」
「ぷらい・・・?」
「あーっ、もう、めんどくせー!とにかく俺は今日は散歩に行くからなっ。じゃあなっ!」
「待て、天真。剣の稽古はどうするのだ。」

(あーあ、またやってるよ。やっぱり天真くんと頼久さんって水と油なのかなあ?)

でも私は知っている。
天真くんと頼久さんの間には確かな絆があるってこと・・・。
お互いを大切に思う気持ちは、変わらないよね?

ああっ、ついに恥ずかしいシーン続出の後編アップ。(^-^;

自分でも何故こんな話が書けたのか不思議・・・。

でもセリフばかりで描写がなっていませんね、相変わらず・・・。

どれが誰のセリフだか分からないのでは?

2000.07.22


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