相容れぬ者
ベオルブ邸前 | |
剣士ラムザ | 「待てよ、ディリータ。何処へ行こうっていうんだ。」 |
「とにかく、落ち着けよ!」 | |
剣士ディリータ | 「落ち着けだと?落ち着いていられるものかッ!」 |
そういうとディリータは何処かへと向かおうとする。 | |
剣士ラムザ | 「何処にいるのかも分からないんだ!あてもなく捜したって意味がないよ!」 |
その言葉に憤ったディリータがラムザの胸倉を掴む。 | |
剣士ディリータ | 「意味がないだと!?たった一人の妹なんだぞ!!」 |
剣士ラムザ | 「に、兄さんも・・・言っていたじゃないか・・・・・・。」 |
「ティータを見殺しには・・・しないって・・・と・・・に・・・かく・・・今・・・・・・動いても・・・・・・く、苦しいよ・・・・・・。」 | |
ディリータがようやく手を離す。 | |
ラムザが地面に座り込んで咳き込む。 | |
剣士ディリータ | 「すまない、ラムザ。大丈夫か・・・?」 |
剣士ラムザ | 「あ、ああ・・・。ゴホッ、ゴホッ・・・。」 |
邸内からアルガスが出て来る。 | |
剣士アルガス | 「オレは”絶対”なんて言葉を”絶対”に信じないけどな。」 |
アルガスが2人に近付いて来る。 | |
剣士ラムザ | 「兄さんが嘘をついているとでも?」 |
剣士アルガス | 「ああ、オレだったら、平民の娘を助けるなんてことはしないな。」 |
剣士ディリータ | 「何だと・・・!」 |
剣士アルガス | 「お前達平民のために兵など動かさんと言っているんだ!!」 |
剣士ディリータ | 「き、貴様ッ!!」 |
ディリータがアルガスを殴る。 | |
アルガスは尻餅をつく。 | |
ラムザがディリータを背後から羽交い締めにし、必死で止めようとする。 | |
剣士ラムザ | 「よせッ!ディリータ!」 |
ディリータはラムザを振りほどこうとする。 | |
剣士ディリータ | 「離せッ!畜生ッ、離せッ!!」 |
アルガスが手の甲で顎をさする。 | |
剣士アルガス | 「フン、やっぱり平民は所詮、平民だ。貴族になれやしないッ!」 |
「ディリータ、お前はここにいちゃいけないヤツなんだよ!分かるか、この野郎ッ!」 | |
アルガスの言葉に対し、ディリータが前へ出ようとする。 | |
剣士ディリータ | 「言わせておけばッ!!!」 |
ラムザがディリータを引き戻す。 | |
「やめろッ!ディリータ!アルガスもいい加減にしろッ!!」 | |
アルガスが立ち上がる。 | |
剣士アルガス | 「ラムザ、目を覚ませ。そいつはオレ達とは違う。」 |
「分かるだろ、ラムザ。オレ達貴族とコイツは一緒に暮らしていけないんだ。」 | |
剣士ラムザ | 「馬鹿な!ディリータは親友だ。兄弟みたいに暮らしてきたんだ!」 |
剣士アルガス | 「だからこそ、目を覚ませ。友達ごっこはもうおしまいだ。」 |
「君は名高きベオルブ家の御曹司だ。貴族の中の貴族だ。コイツと一緒にいちゃいけない。」 | |
「少なくとも、君の兄貴達はそう思っているはずだぜ!」 | |
ディリータがラムザを振り払う。 | |
ラムザは尻餅をつくが、すぐに立ち上がる。 | |
剣士ディリータ | 「お前みたいな貴族ばかりじゃない!オレはラムザを信じる!」 |
そう言い残してディリータが去って行く。 | |
ラムザはアルガスの目の前へと歩いて行くと、怒りをあらわに叫んだ。 | |
剣士ラムザ | 「僕の前から消えろ!二度と現れるなッ!!」 |
剣士アルガス | 「つれない言葉だな。仲間じゃないか。」 |
ラムザが1歩前へと踏み出す。 | |
剣士ラムザ | 「二度とは言わないぞ!さっさと行けッ!!」 |
アルガスは立ち去ろうと歩きかけるが、途中で振り返る。 | |
剣士アルガス | 「奴らの本拠地はジークデン砦だ。君の兄貴に聞いたよ。」 |
「もっとも、正面からは近付けないぜ。幾重もの警戒線が引かれているとさ。裏から攻めるしかないな。」 | |
「ま、せいぜい、頑張ってくれよ。甘ったれた御曹司さん。」 | |
ラムザが更に1歩前へ出る。 | |
剣士ラムザ | 「失せろッ!!」 |
アルガスは両手を広げると、首を横に振り呆れたように去って行った。 |
◆FFT◆