北条政子の夢買い
源頼朝の妻となった北条政子には、有名な夢のエピソードが伝えられています。この北条政子の夢買いも、一種の夢コントロールであると言えるでしょう。
ある時、北条政子の妹が、高い山に登って着物の袂に月と日を入れ、3つの橘の実のついた枝を頭の上に置いている夢を見ました。妹がその夢を政子に語って夢解きを求めると、政子はそんな尊すぎる夢は逆夢で、災難を知らせる恐ろしい夢だと答えたのです。しかし、その夢を誰かに買い取って身代わりになってもらえば良い、自分が身代わりになってやろうと話を持ちかけます。そして妹が前から欲しがっていた鏡を渡し、それで夢を買い取りました。しかしその夢は本当は吉夢であり、その夢を買い取ったお陰で、政子は源頼朝の妻となり、後には尼将軍として権力を振るうまでになったというのです。
月や太陽はもちろん幸運や栄誉の象徴です。3つの橘の実は、3という数から豊かさと解釈しても良いし、後に政子が産んだ3人の子どもと解釈しても良いかもしれません。