星空と星座
太陽が西の空に沈んでしばらくすると、空には無数の星が輝きだします。空が澄んでいれば、5000個くらい数えられると言います。
いくつかの星々は互いに結びつけられ、「星座」を形作っています。さそり座、オリオン座など、全部で88個の星座が夜空に輝いています。この星座が初めて作られたのは、今から5000年以上も前のことです。
メソポタミア地方(今のイラク辺り)に住んでいたシュメール人達は星を見て時を知り、季節を探知していました。彼らは、毎日のように美しい星々を眺めているうちに、やがて星をつないで、身近な動物や神様の姿、伝説の英雄の姿を夜空に描くようになりました。これが私達が今使っている星座の始まりです。やがて星座達は古代ギリシャへ伝わり、そこでギリシャ神話と結びつけられ、時を越えて語り継がれるようになったのです。西暦120年頃、ギリシャの天文学者トレミーが書いた本の中には48個の星座が紹介されています。
15世紀〜16世紀になると、ヨーロッパは大航海時代を迎え、南半球まで行くようになりました。そこには、北半球では見られない星空が広がっていました。その話を船乗り達から聞いた天文学者達は、先を争って星座を作り始めました。新しく作られた星座は、南半球で見つかった珍しい生き物や最新の科学機材、天文学者が個人的な記念に作った星座もあり、星座の世界は次第に混乱していきました。
世界中の天文学者達が、乱雑になった星座を整理しようと集まったのが、1930年のことです。この時、星座は88個と決定され、境界線もはっきりと決められました。こうして、今私達が使っている星座が完成したのです。
夜空に浮かぶ星々を見ると、その色や明るさが様々なことに気付きます。青、白、黄、緑、オレンジ、赤と、星々の色が違うのは、それぞれの星の温度が違うからです。青や白い色の星は温度の高い星です。例えば、青白い輝きのおおいぬ座のシリウスは表面温度が14000℃と測定されています。それに対して、オレンジや赤い色の星は温度が低く、赤く輝くさそり座のアンタレスは3500℃しかありません。
また、星々の明るさの違いは、「等級」という単位で表しています。このような表し方を考えたのは、古代ギリシャの天文学者ヒッバルコスでした。彼は、肉眼で見て最も明るい星21個を1等星とし、やっと見える暗い星を6等星と決め、その間を2、3、4、5等星としました。やがて、星の明るさを機械で測定できるようになると、1等星の平均の明るさが6等星の平均の明るさの100倍であり、1等星は2等星より約2.5倍明るく、2等星は3等星より約2.5倍明るく・・・・・・、ということが分かりました。現在では、星の明るさはもう少し詳しく、例えば、しし座のレグルスは1.3等星などと決められています。
6等星の平均の明るさの100倍を1等星とすると、それまで1等星と呼ばれてきた星の中には、1等星よりもっと明るい星のあることが分かってきたので、1等星より2.5倍明るい星を0等星、0等星より2.5倍明るい星を-1等星・・・・・・、と新しく決めました。これでいくと、こと座のベガは0.0等星、全天で最も明るいシリウスは-1.5等星となります。