記憶のかけら

「待ってよぉ、ディリータぁ。」

「早くしないとどこかへ行っちゃうぞ。」

僕は必死になってディリータを追いかける。

でもいくら僕が必死になっても、いつもディリータは先に走って行ってしまう。

「待ってよぉー。」

「あっ!!」

ディリータを追いかけるのに夢中で足元の小石に気付かず、転んでしまった。

「うわーん、ディリータぁぁ。」

「ほら、しょうがないなあ、ラムザは・・・。」

こんな時ディリータは、いつでも手を差し伸べてくれるんだ。

僕よりも少し早く生まれただけなのに、僕の何倍もしっかりしている。

一緒に遊んでくれない兄さん達よりも、ディリータの方がずっと僕のお兄さんみたいだ。

「ほら、泣くなよ。アルマに笑われるぞ。」

「ううっ、泣いてなんていないもん。」

僕は必死でこらえようとしたけど、目の前がぼやけてきてしまった。

「大丈夫か?」

「うん。」

僕は目をこするとディリータの差し出した手につかまって立ち上がった。

「よし、行くぞ!」

「うん。」

「まだいるといいな、チョコボ。」

「うん。」

僕達は手を取り合うと、丘の上へ向かって再び走り出した。

昔の二人ということで・・・。
まだ身分の違いなんか関係なかった頃の幸せな二人を書いてみたかったんです。
会社でこんなものを書いていた私・・・。(^^;)
短いです。
文才ないので・・・。

2000.03.08


FFT