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ようこそ夢世界へ
眠っている間に心の中に浮かんできたイメージ(心象)の記憶、それを夢と呼びます。眠っている間は、外界に向かう肉体の活動が休止し、起きている時に働いている意識、つまり、物を見たり聞いたり味わったりといった、肉体に伴う意識が働きません。そのため古代の人々は、眠りを小さな死と考えました。そして、眠っている間に体を抜け出した魂が体験した記憶が、夢であると考えたのです。
実際、夢は完全な眠りと起きている時の中間の状態(半覚醒時)で見ると言われています。つまり、外界に向かって働いている意識が休止し、自分自身の内なる意識が目覚めている状態の時に、夢が生み出されるのです。

夢に潜む意味をどう判断すればいいの?
「夢」は本当に不思議なものです。自分でありながら、自分ではない、もう一人の自分を見ることができるのです。嬉しくもあり、怖くもあります。思ってもいない自分の発見を、どう理解すればいいのか、戸惑いを感じることもあるでしょう。
「夢」は大体3つのパターンに分かれます。

  1. はっきりした記憶や経験に沿って意識できるもの。
  2. 今まで気付いていなかったが、何となく思い当たるもの。
  3. 何故そんな夢を見たのか、全く理解できないもの。

この3つにはっきり分かれない、曖昧さがまた、夢らしいところでもあります。
「夢」には自分の本音が出るものです。日常は意識していなくても我慢していたり、抑圧されている不満が顔を出すのです。その出方に差があり、自分がやられていたり、逆に相手にやり返したり。夢の内容で、不満の度合いを計ることもできるのです。
「夢」の内容を語ることは、本当の心の内を見せることにもなります。子どもの夢の話を聞いてあげれば、必ずいじめなどの兆しに気付くはずです。夢の内容から、子どもの心理状態を知ることができますが、同時に、”子どもの話を聞いてあげる、そしてお母さんの夢・体験を聞かせてあげる”という、コミュニケーションをとることもできます。言いたいこと、知って欲しいことを伝えるチャンスなのです。これは、夫婦、恋人、友達などの間でも同じでしょう。
「夢」の傾向で、自分の性格をうかがうこともできます。「落っこちたり、襲われる夢」の多い人は、心配性、被害妄想的。「上がったり上ったり、攻撃したりする夢」の多い人は、向上心旺盛で上昇志向、自由でわがまま。「家族や友達の夢」の多い人は、努力家であり人間関係を大切にするフェミニスト。しかし、夢の中には裏返しで現れることも多いので、決めつけるわけにはいきません。
「夢」を本格的に研究し、精神分析を科学として確立したのは、フロイト(オーストリア1856〜1939)と、ユング(スイス1875〜1961)です。人間の精神を探る重要なキーとして夢を位置づけました。
「夢」は、深い睡眠ではなく、レム睡眠と呼ばれる時に見ると言われています。体は眠っていますが、脳波が活発に動いている状態です。心拍数、脈拍、血圧などには変化があるのです。寝入りばなの浅い眠りの時、現実(想像)に近い、曖昧な夢の状態もあります。眠りの状況により、夢の意味合いも変わります。
「夢」は現実の生活と、真実の心をつなぐ大切なパイプ。心身共に健康的なバランスを保つ役割が、夢にはあるのです。この夢を上手に活用したいものですね。夢判断で自分の潜在的欲求を知ることは、日々の生活の大きな指針となることでしょう。

人は2つの世界を持っている
神秘学的には、人間は肉体と魂の2つの部分から成り立っています。
これは、少々観念的に聞こえるかもしれませんが、この2つの部分は一人の人間の人生に深く関わりながら、それぞれに異なる世界での人生を歩んでいるのです。
詳しく言うと、肉体や可視外界の活動につながる意識、つまり五感や外界の危険から身を守ろうとする本能などは、外界の世界の意識に属します。そして、何かを想像したり、願望や願望や感情などを意識する部分は、内側の世界の意識と捉えられるのです。
さて、人間は起きている時は、外界に向かう意識の方が優先し、内側の意識は抑圧されています。ところが、外界に向かう意識が休んでいる時、つまり半覚醒時の睡眠中や瞑想状態の時には、内側の魂の意識が目覚めるのです。これを、もう一人の自分と言ってもいいでしょうし、最も素直な自分と言ってもいいでしょう。
ただ、いずれにせよ、私達は、この内側の意識を通じてもうひとつの人生を体験しているのです。

想念の世界
内側の意識が作っている別の世界とは、どういうものなのでしょうか?私達は通常、肉体の目で眺められる物質世界を意識しています。しかし、この世界は目に見える物質だけで成り立っているわけではありません。実は目に見えない様々な感情や願望や意思などの想念が、人々やこの世界を動かす原動力となっているのです。この考え方を押し進めると、全ての物質には人間の魂にあたる部分(プラウマ)が隠されていることになります。
例えば宝石があったとしましょう。目で見る限りではただの宝石であっても、プラウマの部分には宝石の持つある種の力や、かつてこの宝石に関わった魂の想念、感情や願望や、時には呪いの力などが受け継がれているわけです。
もちろん物質と違って、想念の世界は物理的な時の支配から解放されていますから、その広がりは縦横無尽です。それは例えるなら、物質世界では何万光年もかかる星世界に、想念なら瞬時に到達できるし、過去の懐かしい思い出を今まさに心に甦らせることによって、人は時を超えることさえできるという事実に象徴できるかもしれません。
こうしたことから、想念の世界には、これまでの魂の記憶(既に死んでしまった人々や滅んでしまったものも含めて)が蓄積されているばかりか、更にこれからの未来イメージまでも隠されているとも言われています。
これを、20世紀最大の預言者エドガー・ケイシーは、アカシック・レコードと呼びました。彼は半覚醒状態で数々の予言を成しとげたことで有名ですが、「自分は実際に夢の世界を旅し、このアカシック・レコードから情報を引き出すことによって、失われた文明の記録を読み、初めて出会った人々の未来までも正確に予知した」と語っています。
しかし、この影の世界、言い換えればアカシック・レコードの世界に触れられるのは、ケイシーばかりではありません。肉体の目は外側の物質を眺めていても、人間の魂は誰しも想念の部分を感じているのです。ただ、朝、目が覚めた時に、はっきりと覚えている夢が少ないように、一般的に私達は内なる意識を感じても、それを意識の表面でしっかり思い出し、理解することができません。何故なら想念の世界は、意識の世界よりもはるかに豊かで大きいからです。実際、夢のほんの一場面でさえ、実は非常に広がりのある意味を持っていることが多いのです。
限られた表面意識と無限の広がりを持つ影の想念世界・・・・・・まさにこの2つの世界の間に理解の橋を架けるためにこそ、夢占いは研究され発達してきたと言えるでしょう。言い換えれば夢占いは、私達普通の人間がアカシック・レコードに触れるための魔法の鍵なのです。

フロイトとユング
古代では、夢は祖霊や神からの語りかけであると考えられていたので、そのメッセージを解き明かすために、専門の宗教家や夢解きのオカルティストが存在していました。彼らはある種の能力者として、夢を見ることによって病気を治したり、未来を予知したり、あるいは夢を操作して運命を変える技術を編み出していったのです。
こうした技術は、実は非常に洗練されたものであり、実際に有効でもあるのですが、長い間非科学的な迷信として退けられてきました。しかし、この夢世界に再び光を与えてくれたのは、心理学の父であるジークムント・フロイトでした。
フロイトは、医者としての立場から夢を研究した結果、夢は抑圧された願望がもたらすものであり、満たされない願望の充足であると考えました。
人は外界の危機から身を守るための自我本能を持っているため、現実世界では必ずしも、自分の欲求に従って行動しているわけではありません。むしろ、現実社会の環境に合理的に適応するために、原始的な欲求を抑圧し、自分の願望を心の奥に閉じ込めてしまうのです。つまり自我本能とは、外界に向かう肉体意識と考えても差し支えないでしょう。しかし眠っている時は、自分を抑圧する意識が低下するので、閉じ込められた願望が解放され、夢の中でイメージ化(心象化)されるというのです。
そしてこの抑圧された意識を、フロイトは「無意識」と名付けたのです。
表面意識を、氷山が海に浮かんでいる3分の1だとすると、無意識は、海面下に隠された残り3分の2にあたります。普段人々は、この3分の2の隠された意識を忘れ去り、海面上のわずか3分の1の自分だけを、本当の自分と思い込んで生活しています。しかしだからといって、残りの3分の2が消えてしまったわけではありません。それどころか、この隠された無意識の力こそ、現実世界の意識に大きな影響を与えていたのです。

人間を支配する影の力
フロイトによれば、人間の本能とは根本的に性的な欲求であり、それが生命エネルギーや、芸術的な感性や、その他全ての意識や言動の根本になっていると言います。しかし、性の問題は現実社会ではそんなにおおっぴらにはできません。その結果、この人間の自然で根源的な衝動は、無意識の中に押し込められると、彼は考えました。
実際、フロイトの解釈では、夢の中に出てくる象徴は、大抵が男性シンボルと女性シンボルに分けられ、抑圧された性的な問題に結びついているとされます。また、性的な問題の他にも、意識したくないコンプレックスやショッキングな出来事なども無意識の中に押し込められており、それらの意識が心の歪みを作って、様々な精神疾患の原因になっているのだと考えたのです。
ただ、こうした抑圧された意識は、人間の無意識が解放される夢の中で映像化され、なんとか全体の精神的なバランスを保とうとします。そこで、彼は夢に取り込むことで、逆に過去の心の痛みや歪みの原因を解明して、治療に役立てようとしたのです。
これは、実際に非常に劇的な治療効果をもたらしました。特に、フロイトの生きたビクトリア朝時代は、性的な感心が非常に抑圧されており、当時流行していた女性のヒステリー症状のほとんどは、この極度な性的抑圧による部分が多かったため、彼の心理学は時代の最先端を行くものとして、一躍注目されることになったのです。
無意識の世界を性的欲求に代表させるフロイトの考え方は、何かと誤解されやすいのですが、実はこうした考え方は、古代の神秘学からそうかけ離れたものではありません。錬金術をはじめ、もともとオカルトでは、想念世界は2つの大きな要素、つまり男性原理と女性原理から成り立っており、そこから宇宙が生み出されるとされてきたのです。それは東洋の陰陽二元論とも共通しますが、実際、多くの神話がそうした男性的要素と女性的要素の対比によって成り立っています。
こう考えてみると、ある意味でフロイトはこうしたオカルト的な考え方を、科学的手法によって甦らせたと言えるのかもしれません。

夢は豊かな可能性の宝庫
フロイトの弟子として、心理学者の道を歩み始めたカール・グスタフ・ユングは、フロイトの「無意識」を基盤に更に考え方を広げ、「集合無意識」の考え方を提唱しました。これは人々が意識下で抱いた願望や感情など、現実世界で実現化していない意識の全てが、「無意識」領域に含まれると見なす学説です。フロイトとユングの最も大きな違いは、フロイトが無意識の世界を抑圧された暗いイメージでとらえたのに対し、ユングは無意識をもっと豊かな人間の可能性の宝庫としてとらえた点にあります。
ユングは、想念世界の中の男性的領域と女性的原理に代表されるイメージを、更に6つの元型(アーキタイプ)に分けました。これは人格を投影する基本の6タイプであり、夢解釈をする上で重要なキーワードになってきます。
ユングは無意識下の願望や感情は、達成しよう、実現しようという力(リビドー、生命エネルギー)を持っていると考えました。そのため、無意識下に隠されている願望や感情は、知らず知らずのうちに個人の心理状態に大きな影響を与えたり、時には運命の方向を変えてしまうことさえあるというのです。実際彼は夢を解き明かすことによって、未来に起こりうる出来事を予測することができると主張しました。夢を、無意識から浮かび上がり実現しつつある願望のイメージとしてとらえたユングは、ある意味で、想念世界に描かれているイメージがいつか具体化して現実の運命となるという、古代魔術の世界観を(無意識に)継承した人物だと言えるかもしれません。
ジークムント・フロイトとカール・グスタフ・ユング、この2人の巨人によって夢は、暗く陰鬱な呪術的迷信の世界から、不死鳥のように新たな生命を吹き込まれ、私達の前に姿を現してきたのです。

夢の言葉は神話の世界
夢の世界から多くの宝物を手に入れるためには、まず夢の世界の法則を知っておくことが大切です。その法則を説明したものが夢占いなのですが、これを有効に活用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
知っておいていただきたいことはまず、夢が独特な言語を持った世界だということです。私達は普通、言葉という道具を使って意志疎通を図りますが、夢はもっと根元的で人種や文化を超えたイメージ(心象)によってメッセージを伝えようとします。
もともと文明の道具として生み出された言葉は、本来のイメージ(心象)を伝えるための記号、あるいは代用品にすぎません。例えば「リンゴ」という言葉は、私達が通常リンゴと呼んでいるあの赤くて丸い果実を意味しますが、現実にこの場にリンゴがなくても、私達は「リンゴ」という言葉を耳にしたり目にしたりすることで、かつて自分が見たことのあるリンゴの形やその味、それに対して自分が抱いているある種の感情や出来事などを思い浮かべることができます。
つまり言葉によって、リンゴの本質=イメージを思い浮かべたのです。このように、私達は言葉に囲まれて意志疎通を図っていますが、実は心の中では、イメージ(心象)の交換を行っているのだと言えるでしょう。
このイメージこそ、私達のいろいろな事柄に対する想念の結晶なのです。
例えば太陽が昇るのを見れば、人は活動を始めます。生き物は皆、太陽の恵みを受けなければ成長できません。だから人々は、人種や文化に関係なく太陽に生命力のイメージを投影し、多くの神話の中では、太陽に対する信仰が生まれました。太陽は力や若さや活動力や、ありとあらゆる生命力を連想させる神の姿として登場してきたのです。
また、夜の闇の中では人々は活動を停止し、眠りにつきます。夜は休息や死、更には闇の中に潜む危険を連想させます。やはり多くの神話の中で、夜の闇から死や眠りの神や悪魔が生み出され、闇は死や休息のイメージ・シンボルとなったのです。
ユングはこうしたイメージの多くが文明や人種を超えて、長い間に人々の無意識の中で形作られ、集合無意識の中に蓄えられ、受け継がれてきたと考えました。そうでなければ、地球規模で広がる神話世界と夢の共通性をうまく説明できなかったからです。
私達の夢は、こうしたイメージを使って話をしているのです。
だから夢は、神話に似ています。私達は、目覚めている時には人工的な言語で生活していますが、一度眠りにつくと、悠久の神話世界に立ち戻るのです。
従って夢を解釈する時にも、このことを忘れてはいけません。夢の中で行われていることは、言葉にならない言葉が力を持つ神々の物語であり、魔法の世界なのです。しかもそれは、あなた自身を主人公にしたドラマです。このことを念頭に、どれだけ自分で自由に連想してイメージを膨らませられるかが、キーポイントになります。

夢の神話の主人公はあなた
このコーナーでは多くの世界に共通する、無意識のイメージを解説しています。それはきっとあなただけの神話世界の謎を解く鍵になるでしょう。しかしより深く夢を解釈していくためには、個別に現れるイメージを総合して判断する必要があります。つまり、自分で神話を完成させていく作業が必要なのです。
実はイメージ・シンボルの中には、その人個人の体験と密接に結びついているイメージを持っているものも非常に多いのです。例えば、過去に自分がある事柄について持っていたイメージが夢の中に現れてくることはよくあります。肉親の誰かがいつも着ていた洋服や小物が現れる時、その洋服や小物はその肉親のイメージを投影しているのです。そんな時は、その洋服や小物に対する一般的な夢解釈よりも、自分の中で作られた投影イメージの方を優先させて考えるべきでしょう。
問題は、自分がその物語や人物や事柄に関して一体どのような言い伝えやイメージを投影しているのかを、考えることなのです。何しろ夢のシナリオは、集合的無意識の世界を土台にしているとは言っても、あなた個人のために書かれたものなのですから。
このようにして夢解釈を続けていくと、やがて、あなたの表面意識と無意識の間をつなぐパイプは、どんどん太くなっていきます。夢の世界も、どんどん分かりやすい物語を作ってくれるようになるでしょう。そうするうちに、あなたは今まで自分自身さえ気付かなかった自分の本当の姿を垣間見、きっと自分の運命や未来に対しても有益なヒントを得ることができるようになるはずです。

夢の神話の登場人物
ユングは、人は無意識の中で全てのものや出来事に関するイメージを擬人化し、それに対して自分をとりまく人間関係や、そこからもたらされる影響力のイメージに投影すると考えました。
実際、昔話や神話では、物や出来事や動物や植物たちがしばしば擬人化されて出てきますが、ユングはこうした物語を、心象風景ドラマとしてとらえ直そうとしたのです。その時に生まれてきたのが、以下に説明する6つのアーキタイプです。これは言ってみれば、あなたの夢=神話世界の登場人物のキャラクターのようなものです。
ユングの心理学では、私達の心理的人格は、これら6つの元型が投影された6つの心理部分によって成り立っていて、それらの微妙で複合的なバランスと影響のもとに成長していくと考えられています。
ただ、こうしたバランスが理想的な状態で保たれていることはまれで、大抵は環境や現実の事件によってそのバランスが崩れてきたり、あるいは否定的な影響を受けたりします。これをこのまま放っておくと、心理的に不健康な状態になるため、当然修正する必要が出てきます。そんな時、問題になっているイメージ・シンボルが夢の中に登場して、事態を改善するためのメッセージを与えるというわけです。従って夢の中では、現実に起こる問題が直接投影されるというよりも、この6つの元型に基づいたイメージ・シンボルや、その人物のイメージが投影されたものや人などが、象徴的に登場する場合が多いのです。
これを、夢解釈をする立場から見ると、問題点を見極めるためにはまず、シンボルのアーキタイプを確かめれば良いということになります。これは夢を判断していく上での重要なヒントになりますから、以下にまとめて解説しておきます。

  1. グレート・マザー
  2. オールド・ワイズマン
  3. アニマ
  4. アニムス
  5. シャドウ
  6. ペルソナ

フロイトの充足夢
ここで、少し重複しますが、ユングの師匠にあたるフロイトの夢解釈を説明しておきましょう。実際、夢判断をしていく上で、とても参考になることが多いからです。
フロイトは、夢は現実世界で満たされなかった欲求の充足であり、その多くは性的な欲求のシンボルであると考えました。そうしたフロイトの解釈に基づいて夢を解明してみることも、かなり有効です。そのためには、夢に現れる物が男性的シンボルなのか、女性的シンボルなのかに注目してみることです。
ユングのアーキタイプでグレート・マザー、アニマに関するものは当然、女性的シンボルに分類されます。またオールド・ワイズマン、あるいはアニムスに分類されるものは男性的シンボルと考えるべきでしょう。またペルソナは、それを身に付ける人の性別によって男性的シンボルか、あるいは女性的シンボルかに分けられますが、形態として、細長いものや尖ったものは男性的シンボルに、丸いものや中に何か入れられる容器状のものは女性的シンボルと考えられます。
また大抵の場合、フロイトの夢解釈では、人はこうなって欲しいと思う願望を夢で映像化させますが、それは現実世界でその願望が充足されないからであって、それはつまり、現実に起こり得ないことを夢で見る、言い換えると夢の中で実現したことは現実にはなりにくい、逆夢の形式をとりやすいと考えたと言えるでしょう。これを逆に考えると、夢で実際に見たことを現実化する努力をしてみることで、無意識のストレスのかなりの部分を解放してやることも可能になるのです。
例えば、夢の中で自動車をうまく乗りこなせない、というのは性的に未熟であったり、身体的なコントロールがうまくいっていないことを表しており、放っておくと本当に体に不調が出たり、ヒステリー症状が出たりします。そこで、夢の象徴通り実際に車の免許を取って、夢の中でうまくいかなかった運転を現実で上手に運転できるようにすると、その部分の無意識を間接的に解放してやることができるのです。
古代の呪術師達が行っていた夢治療には、実はこうした側面もあったのです。

夢のコントロール法
夢は心の癒しであり、実際に精神と肉体の健康を保つのに重要な役割を果たしています。現実世界と夢世界は常にバランスを保ちながら形作られているのです。

例えば現実世界で試練に遭っている人は、夢世界で慰めを見出し、現実世界で困窮している人は、夢世界でうたかたの豊かさを得ることで、現実に立ち向かう精神力を養うことができるといっても良いでしょう。夢の作用は生きる力に必要なものなのです。
また病気の時などに、体に必要な栄養素を含んだ食べ物を夢に見ることもあります。
例えば、古代ギリシアではアスクレピオスの夢見の神殿に行くと、夢の中で病気の治療法が告げられると信じられていました。これは、現代でも決して迷信ではありません。無意識は、表面意識よりもはるかに体が何を必要としているかを知っており、外界の雑音に惑わされない解決法を端的に告げるものです。
それだけではありません。まさかと思うでしょうが、それが例え夢の中であっても、夢に見た食べ物を口にした場合は、その食べ物の持つある種の精神的な力を取り込むことができるのです。「食べる」というイメージは、何であれ、その対象の持つ力を体内に取り込むことを意味します。心が食べるなら、それは心の栄養素になるのです。そして心を整えていくことが、体の健康回復にどれほど有効なものか、昨今のアカデミズムの報告を待つまでもありません。
しかしせっかく夢の中で、病気を癒すためにある食べ物が示されながら、それを食べられなかった場合は、現実世界で実際にその食べ物を食べることが有効なのです。

夢を通じて無意識をコントロールする
夢は、解釈し終えたら現実世界に反映させることを喜びます。これは、前述したような健康問題ばかりではありません。例えば夢の中で鳩が出てきて、鳩を捕まえようとしたけれど捕まえられなかった、または逃がしてしまったとしましょう。鳩は愛情の象徴。つまりこの夢は、心の中で愛情を求めていますが、いまひとつのところで愛情を掴めずにいること、または愛情を逃してしまうことを告げているのです。夢世界で逃げてしまった鳩は、現実世界で、愛情を逃す事件をもたらすと言えるでしょう。それは無意識の中に鳩を捕まえる用意ができていないからです。それをこの夢は教えているのです。ではどうすれば、無意識に準備させることができるのでしょうか。

「今度は夢の中で鳩を捕まえること」---これが、最適のアドバイスです。なぜなら、夢の中で鳩を逃がさずに捕まえることができたなら、夢の意味は変わるからです。これが夢のコントロールと呼ばれるテクニックです。それが難しいならば、(大抵はとても難しい)現実世界で鳩を見たり触ったりして下さい。夢の中で満たされなかった意識を現実世界で満たすのです。それによって、今度は夢の中でうまく鳩を捕まえることができるかもしれません。いずれにせよ、現実の行動は潜在意識の部分に確実に影響を与え、心を変えることによって運命を変えるからです。
もう少し進んだ夢コントロールは、夢の場面を発展させるやり方です。例えば夢の中で閉じられている扉を見たとしましょう。夢が醒めてからその扉が開くイメージを思い浮かべたり、実際に夢の中で見たのと似たような扉の前へ行って、扉を開けてみるのです。そして扉の向こうに何があるのかを、自分なりに思い浮かべたり、現実に眺めたりするのです。きっと、今度夢に扉が現れたとしたら、扉を開けてあなたは、自分の思い浮かべた場面を夢世界に出現させることができるでしょう。
こうした夢のコントロールは、何回も繰り返し見るような重要な夢に対して、より効果的に働くということも覚えておいて下さい。

夢はこれを解く者の言葉に従う
これから夢解釈の世界に入っていくあなたにこの言葉を贈ります。

「夢はこれを解く者の言葉に従う」
夢解釈は、ただ正確であればいいというものではありません。勿論、夢解釈がきちんと正しく行われることはとても大切なことです。そうでなくては、無意識の世界からのメッセージを有効に使うことはできません。
でも、正しければ何をしても良いというわけでもないのです。これは現実の社会でも言えることですが、人に何かをさせたい時にただ命令をしても、反感を買うだけです。それをした時にどんなにいいことがあるのかということもきちんと言わなければ、片手落ちになるわけです。例えば、夢の解釈で苦労しそうだと出たとしても、それをただ悲観しているだけでは何にもならないのです。その苦労がどれほど自分を成長させるものなのか、今どれほど自分にとって必要なものかということまでちゃんと解読しておかないと、せっかくの夢の宝物を台無しにしかねないわけです。
おとぎ話の結末のように、夢だってハッピーエンドで終わった方がいいに決まっていますから・・・。

タルムードに書かれた夢解釈の極意
古代ユダヤでも夢解きは盛んに行われ、「タルムード」と呼ばれる夢の文献も残っていますが、有名な言葉に「夢はこれを解く者の言葉に従う」というものがあります。夢はそれをどのように解くかということによって、つまり、夢のメッセージをどのように解釈、認識するかによっても、現実世界に顕れる影響力が違ってくるというのです。

---昔バール・ヘージャという夢解き師がいた。金持ちの顧客に対しては良い夢解釈を、貧乏人の顧客に対しては容赦なく不吉な解釈を与えたという。ある時、気前の良いアバイとけちなラバという顧客が同じ夢を見た。それは、樽の中からちしゃ(レタス・サラダ菜)が生えている夢だった。気前の良いアバイに与えられた解釈は次のようであった。「ちしゃが勢い良く育つように、商売が繁盛するであろう」。一方けちなラバに与えられた解釈は、「ちしゃが苦いよいに、商売もまた苦しくなるだろう」というものだった。こんなことが度々続いた後、ラバはたまたまバール・ヘージャと同じ船に乗り合わせることになった。その時バール・ヘージャの持っていた夢解きの本が落ち、ラバがそれを開いてみると、「夢はこれを解く者の言葉に従う」という文章を目にし、その秘密をついに知ったのである。---
勿論バール・ヘージャは、全くでたらめの夢解きをしていたわけではありません。沢山の夢解釈から、随時良い解釈と悪い解釈とを使い分けていたわけです。
さて、この古代ユダヤの夢解き専門書「タルムード」によれば、解釈をほどこされていない夢とは、まだ読まれていない手紙のようなものだ、と考えられています。もし悪い夢を見たとしても、精一杯良い解釈をすることで、凶を吉に転じることも可能だというわけです。またそういう夢は、自分に悪意を抱いている者に打ち明けてはいけない、自分に好意的な人間3人を呼んで、好意的に解釈させるべきであるとしています。そして、「私は良い夢を見た」と告げ、それに対し3人は「それは良い夢である。神がそれを良きものへと転じて下さるように」と答えなければならないのです。
これは、人間の無意識と意識の働きを充分に知り尽くした見事なセラピーと言えるでしょう。ただし、この時気をつけなければならないのは、いくら好意的な解釈をするといっても、それが心から納得できる解釈でなくては、潜在意識に影響を及ぼすことはできないということです。納得できる範囲内で最良の解釈をし、しかも夢の与えてくれている警告を無視してはいけないということです。

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