豆を煮るにまめがらを焼く


曹操には曹丕と曹植という息子がありました。
弟の曹植は幼い頃より文武両道に秀でていたため、曹操は弟の方を愛し、兄の曹丕に変えて曹植を太子の座につけようとしていました。
しかし曹植にはあまりにも粗暴な態度が多かったため、結局曹丕に後を譲ることになりました。
しかし一連の出来事を知っている曹丕は、このことが面白くありません。
曹操が亡くなり自らが後を継いでからは、曹植を憎み、いじめるようになりました。
ある日曹丕は曹植を呼びつけ、自分の前を7歩歩むうちに詩を作るように命じました。
テーマは「兄弟」でしたが、「兄弟」を表すような言葉は一切使ってはならないというものでした。
もしできなかった場合、重罪に処そうというのです。
しかし曹植はたちどころに次のような詩を作り上げました。

豆を煮て持してあつものを作る
シを漉して似と為す
まめがらは釜底に在って燃え
豆は釜中に在って泣く
もと是れ同根より生ず

(羹を作ろうとして豆を煮、味噌をこして汁を作るのに、まめがらを釜の底で燃やすと、釜の中の豆が熱さに耐えかねていうには、豆もまめがらも元々同じ根っこで育った間柄なのに、こんなにひどく急いで煮るのはあまりにつれない仕打ちではないか)

父母を同じくする兄弟で、本来ならば手を取り合うべきなのに、何故このように私を責めさいなむのですか?という切ない気持ちを曹植はこの「七歩の詩」に託したのです。
さすがに曹丕もこの詩には、心を打たれたといいます。

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