シャドウ
人間は生まれながらにして個性の違いがある上に、成長の過程でも、あるタイプの個性だけを意識して発達させたり、ある特定の人々と付き合ったり、と偏りが出てきます。それはその個人が自分の個性に合った選択をして生きていく結果なのです。実際、運命そのものも無限の可能性の中から、ただひとつの選択肢を選んでいく結果の積み重ねだと言えるでしょう。
しかし、その時その時で選択されなかった残り全部の可能性は無意識の中に押し込められ、抑圧された願望になっていくのです。これをコンプレックスと考えても良いでしょう。これらの願望や心理は常にその人の選択してきた現実と反対なのですが、選択されなかった願望を夢に見ることで、人は偏りがちな心のバランスを保っているとも言えます。また、フロイトの唱えている、叶えられなかった願望の充足とも関係があると考えられるでしょう。
夢の中では、影(シャドウ)は自分であったり、嫌いなタイプの同性の人間であったり、怖い動物やペルソナなどに投影されて登場します。また、これらのシャドウの登場は、抑えられていた可能性が活発化するということから、物事の変化を告げる意味も持っています。