京劇役者の体の軟らかさ、強靭さは、一度でも京劇をご覧になった方ならば、はっきりと脳裏に焼き付いていることでしょう。 『覇王別姫』の剣舞の最期に虞姫が見せる「下腰(歌舞伎の海老反りに似た背後に大きくのけぞる所作)」や、『鍾馗嫁妹』の鍾馗が披露する「劈岔(両足を一文字に開いて座り込む)」、「朝天鐙(片足を真っ直ぐ伸ばしたまま顔の高さまで持ち上げる)」など、重い衣装を着て歌い踊りながら繰り出す様は、とても同じ人間の技とは思えません。 こうした絶技をこなせるように、京劇役者が行う足腰の訓練を「腰腿功」と言います。 役柄の如何に関わらず、戯曲学校などの養成機関に入った時から、こうした足腰の訓練が毎日いやというほど繰り返されます。 映画『覇王別姫』でも、科班の学生達が泣きながら腰腿功の訓練を行う場面がありましたが、現在も訓練の厳しさは往時とさして変わらないようです。 俳優の一連の基礎訓練としては、この腰腿功以外に把子功と毯子功があり、まとめて「三大塊」と呼ばれています。 |