円場ゆあんちゃん


舞台の上を流れるように動く京劇役者の足の運びを「円場」と言います。
大体能の「ハコビ」に相当するものと考えて頂けると良いでしょう。
元々1つの場所を円を描いて歩き回ることから生まれた名称ですが、実際にはその時に用いられる足の動きの呼称として使われています。
華麗な衣装に包まれて、俳優の足の運びはあまり観客の目には見えませんが、水面を優雅に滑る白鳥が水の中ではせわしく足を動かしているのと同じように、京劇役者の一糸乱れぬ滑らかな動きも徹底的に鍛錬された足の運びから生まれます。
膝を曲げ、腰を安定させて膝から下だけを用いて歩くこの円場は、実際に訓練してみれば分かりますが、1分もしないうちにふくらはぎが痛くなってくるほどきつい動作です。
戯曲学校を訪ねると20分、30分とこの円場の訓練を続ける役者の卵達の姿が見られますが、3日訓練を休むと普通の人に逆戻りという言い方からも分かるように、日々の訓練が舞台上の全ての「美」の土台となっているのです。

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◆京劇単語◆