うつりかわる星空
夜空に輝く星座は、1年中同じというわけではありません。季節によって見える星座が異なります。春の宵の頃、東の空に輝く星座たちを「春の星座」、夏の宵の頃、東の空に輝く星座たちを「夏の星座」・・・・・・、というように呼んでいます。このように、季節によって星座が移り変わるのは、地球が太陽の周りを1年で1回転しているからです。星空が1年の周期で1回転するのを、「年周運動」と呼びます。
また、日没後から数時間、夜空を眺めていると、東の空に見えていた星座が、時間と共に南に移動し、南に見えていた星座は西の空へと移動して行くのに気が付きます。そして東の空には、次から次へと新しい星座が昇ってきます。実は夜空の星々は、北極星(正しくは天の北極。北極星は、ほぼ天の北極に位置しています)を中心にして、1日に1回、回っています。これを「日周運動」と呼びます。時間と共に星空が移り変わるのは、私達の住む地球が、南極と北極を結んだ線を軸にして、約23時間56分で1回転しているからです。自転軸をずっと空まで延ばしたところに北極星があるので、夜空の星々は北極星を中心に、回って見えるというわけなのです。この日周運動のため、日没後から日の出前まで空を眺めていると、春なら、冬の星座から春の星座、そして、夏の星座までを見ることができます。
星空は、季節や時間で移り変わるだけでなく、場所(緯度)によっても変わります。赤道地方へ行けば、南の空には、日本からでは見ることのできない南十字星や大小マゼラン雲などの南の星座が輝いています。日本で真北の空に輝いていた北極星は地平線に重なって見えなくなり、頭上高く輝いていた星座たちは、ここでは北の空に傾いてしまいます。星の日周運動も、ここでは奇妙です。赤道地帯では、自転軸が丁度地平線上にあるために、星は東の地平線から垂直に昇って来て、西の地平線へ垂直に沈みます。
そして南半球へ行くと、もっと様子が異なります。空の半分以上の領域を、日本からでは見られない星座たちが覆っています。北の空には、日本で見慣れた星座たちが輝いていますが、全て逆さまになっています。日本で南の空低く輝いていた星座たちが、ここでは北天高く輝き、日本で空高く輝いていた星座たちが、ここでは北の空低く見えているだけです。そのため、見慣れたはずの星座もなかなか探し出せないでしょう。北極星が見えない代わりに、南半球の星々は南の空の一点、「天の南極」を中心に時計回りに日周運動を行います。ただ残念ながら、天の南極には、北極星のような目立つ星がありません。
星空は季節と時間、そして場所によって移り変わるのです。