「おはよう!もう朝ですよ、アルス。」
次の日の朝、アルスは母親のエレンの声で目を覚ました。
いつも通りの朝食を済ませ、旅立ちの用意を整えるとエレンが見送ってくれた。
「さあ、行ってらっしゃい。」アルス達はまず、アリアハン城へと向かった。
早速手に入れたばかりの盗賊のカギを使ってみると、今まで入れなかった場所へも入れるようになっていた。
カギを開けてとある1室へと足を踏み入れると、1人の男性が愚痴をこぼしてきた。
「アリアハン城にお勤めして10年・・・。ボクもお城の学者になりたかったのに試験に落ちちゃって。受かった人はきっと、頭が冴える本でも読んでいたに違いありませんよ。」
続いて別の部屋に入ろうとしたが、持っているカギでは開けることができなかった。
「こっちなら入れそうだよ。」
シリウスの進める部屋のカギを開けると、1人の学者がいた。
きっと先程の男性が羨んでいる人物だろう。
学者は、アルス達に耳寄りな情報を教えてくれた。
「魔法の玉を使えば、旅のトビラの封印が解けるそうじゃ。確かレーベの村に、魔法の玉の研究をしておった老人がいたと思ったがな。」
「ああ、それなら。」
アルスはレーベの老人から受け取った玉を取り出して見せた。
「おお、それが魔法の玉ですか。素晴らしい!」
学者はアルス達の旅の無事を祈って送り出してくれた。
「ちょっとちょっとアルスってば!」
シリウスに引っ張られて見てみると、彼は近くの引き出しを開けていた。
「やめなさいよ、シリウス。」
ルーシアの声も耳に入らないようである。
「いいもん、見つけちゃった!」
「何を見つけたの?」
ユンが尋ねると、シリウスの指先がキラリと光った。
「ほら!小さなメダルだよ。これで景品がもらえるよね。」
シリウスは心底嬉しそうだ。
「あの、あなたはアルスさんですよね?」
突然アルスに声を掛けてきたのは、1人の兵士だった。
「はい、そうですが・・・。」
アルスが返事をすると、兵士は目に涙を浮かべながらこう続けた。
「私は勇者オルテガに憧れて、城の兵士に志願しました。それなのに・・・・・・勇者オルテガは戦いの末、帰らぬ人に・・・・・・。しかし、あのオルテガ様がカンタンに死んでしまうとはどうしても思えません!きっとどこかで生きているような・・・そんな気がしてならないのですっ。」
「そうよ。きっと生きているわ。」
ルーシアも同意した。
「アルスさん、きっとオルテガ様を探し出して、お2人で魔王を倒して下さいね。」
「はい、頑張ります。」
アルスは改めて打倒バラモスへの決意を固めたのだった。
次にアルス達が向かったのは、城の地下だった。
地下には牢獄があった。
「ここは牢獄。囚人と話したくば、牢屋ごしに話し掛けるが良い。」
見張りの兵士の言葉に従ってアルスは1人の囚人に話し掛けた。
「くそ〜、あのナジミの塔の老人め!このバコタ様を牢なんかに閉じ込めて、おまけにカギを持って行ってしまいやがった!」
その時バコタは、アルスの持っているカギに目を留めた。
「・・・・・・ん?あっ、それは盗賊のカギ!それがあれば赤いトビラを開けられたのに・・・ちくしょう!このバコタ様が作ったんだから、大切に使えよなっ!」
「へえー、そうなんだ。すごいなあ。」
シリウスが感心したように言った。
「どうせ牢屋を開けられるカギなんて持ってねえだろ!だったらあっちに行きな!」
隣りの牢の男はこうわめき散らしていた。
その後アルス達は、親切な老人から話を聞くことができた。
「魔法の玉とは爆薬のような物で、カべを壊したりするのに使えるそうですよ。」
「親切に、ありがとうございます。」
アルスは礼を述べるとその場を立ち去った。
「そうだ!メダルおじさんの所へ行ってみようよ。」
シリウスの勧めで次にアルス達は、メダルおじさんの元へと向かうことにした。 |