第1話

目の前で幾筋かの剣先が閃いた。

相対する少年は斬りつけられ、倒れてしまう。

しかし少年はすぐに立ち上がった。

斬りつけた戦士らしき男性が少年に声を掛けた。

「どうした?セティ。もう降参かい?」

「いいえ。」

「おお!!なかなか頑張るな。しかし今日はこのくらいにしておこう。私の役目は早くお前を一人前に育てることだが、焦っても仕方あるまい。」

「はい。」

「さて、戻るとするか。セティも家でゆっくり休みといいだろう。」

男性は一足先に戻って行った。

少年も後を追うようにして階段を上がって行くと、地上の眩しい光が目に飛び込んできた。

地下室から顔を出した少年は、眩しそうに目の前に手をかざした。

一瞬の間をおいてから少年、セティは家に戻るために歩き始めた。

しかし近くで、何か小さな声が聞こえたような気がした。

「勇者様、勇者様・・・・・・。」

一瞬足を止めたものの気のせいかと思い、また歩き出す。

「勇者様、勇者様・・・・・・。」

セティは辺りをキョロキョロと見回したが、辺りには人の姿は見えなかった。

おかしいなと首をかしげつつ橋を渡って行く。

あと少しで渡り終えようかという時になってまたもや声が聞こえた。

「勇者様、どうか助けて・・・・・・。」

気のせいなどではなかったようだ。

川の中から、今までに見たこともないような大きさの1匹のカエルが飛び出してきた。

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