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「まさか!ガルドが戻ったというのか?」
特選隊隊長のサザーランドが驚きに満ちた表情で尋ねた。
「よくは分かりませんが、サファイア色の竜が上空を舞っているとの情報がありました。」
「よし、行ってみよう!」
ラスティア竜騎士特選隊の現隊長であるサザーランドはガルドの親友であった。
年はガルドよりも3つ上であったが、まだ40歳という若さである。
実力と人望さえあれば、年齢に関係なく隊長の座を射止めることができる、それがラスティア竜騎士隊の特色であった。
勿論、特選隊の一員になることが非常に難しいというのは、周知の事実であったが・・・。

サザーランドは竜騎士隊の宿舎を出て、急いで町へと向かった。
確かに町全体がざわめいているようだ。
サザーランドは人だかりのする方へと近付いて行った。
陽の光を受けて、見事なサファイア色の竜が舞い降りてくる。
(本当にガルドなのか?)
信じられない思いで歩いて行くと、丁度竜が着地したところであった。
「あの・・・。道を空けて下さいませんか?」
小柄な少年が竜の背中から降りて来た。
「ガルドではない?しかし・・・あの竜は・・・。」
思わず声を発する。
「あのー・・・竜騎士隊の建物の方へ行きたいのですが・・・。」
町の人間に囲まれ、少年が困った様子で立ち尽くしている。
「おい、道を空けてやれ。」
サザーランドは助け舟を出した。
自分を助けてくれた竜騎士を見て、ルークは目を見張った。
(深紅の鎧!?ルビー竜騎士隊の人?)
「あの・・・。どうもありがとうございました。私はルーク・マハティアと申します。竜騎士隊の入隊試験のために竜を連れて参りました。」
「ルーク・マハティア?まさか・・・。」
「あの・・・。」
「もしや、君はガルドの・・・息子か?」
「はい。そう・・・らしいです。」
ルークはなんとも間抜けな答えを返してしまった。
「そうか。大きくなったな。」
「私のことをご存知なのですか?」
「・・・いや、直接会うのは初めてだが、ガルドがよく言っていた。息子が生まれたらルークと名付けると・・・。」
(父さんが・・・。この人は父さんの知り合い?)
サザーランドはルークの姿にかつての親友の姿を重ねていた。
「ガルドによく似ているな。」
父親に似ていると言われて、ルークは嬉しかった。
「よく竜を連れて来た。その竜はスターサファイアだな。」
「はい。」
「そうか。それで、ガルドは・・・。」
「ガルドは最後まで立派に戦って逝ったよ、サザーランド。」
スターサファイアが厳かに告げた。
「・・・・・・。ガルド・・・・・・。」
覚悟はしていたものの、やはり親友はあの時の戦いで命を散らしてしまっていたのだ。
サザーランドはしばし黙祷を捧げるように目を閉じると、ルークに向き直った。
「結局ガルドは赤ん坊が誕生する前に逝ってしまったか・・・。立派に育った君を見せてやりたかったな。」
「私も父に一度でいいから会いたかったです。」
「・・・・・・つもる話はあるが、まずは試験だな。早速試験会場へ行きたまえ。」
「はい。」

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2005年9月2日更新