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「でも、母さんはどうして父さんのことを教えてくれなかったんだろう?どうして病気で亡くなったなんて嘘を・・・。」 「辛かったのだろう。いくら立派な竜騎士として最後を遂げたからといっても、母君にとっては大切なパートナーを失う以外の何者でもない。」 「・・・・・・母さんは、僕が竜騎士になるのが嫌だったのかな?」 「確かにそうかもしれない。でも、何故母君は竜騎士の絵本をルークに読んで聞かせたのか分かるか?」 「・・・・・・。」 「恐らく、ルークに父親のように立派に生きて欲しいという母君の願いが込められていたのだろうね。」 「そうだね。僕、絶対に父さんのような立派な竜騎士になってみせるよ。それが最大の親孝行だと思うから・・・。」 サファイア色の竜は風を切って飛んで行く。 首都ラスティアから1人で歩いて行った時とは大違いである。 眼下の景色があっという間に後ろへと流れていく。 「気持ちいいなあ。まるで鳥になったみたいだ。」 ルークは心地良い風に身を任せて、瞳を閉じた。 「聴こえるよ、風の音が・・・。」 そんなルークの様子に、スターサファイアは懐かしいものを感じた。 「ガルドもよく同じことを言っていた。本当にガルドといるようだよ。」 「本当?父さんも風に乗るのが好きだったんだね。」 「不思議だな、君達は・・・。普通の人間はそんなことは言わない。」 「そうなの?ふーん。」 「人間は普通、竜の背中に乗ると振り落とされないようにしっかりとつかまっているものだ。決して風の音に耳をすませたりなどしない。」 「そうかなあ?変かなあ?僕・・・。」 「別におかしいとは言っていない。私には普通の人間よりもよほど心地良い。」 「そうか。良かった。」 ルークはにっこりと微笑んだ。 「そろそろラスティア上空だ。」 スターサファイアは大きな翼をやや後ろにたたむようにすぼめると、急降下を始めた。 「落ちないように気をつけるんだぞ。」 「スターサファイアは僕を落としたりしないよ。」 ルークは完全に竜を信頼しているようである。 「あれは?竜?」 「しかもあの色は・・・。」 上空を見上げた町の人々がざわめき始めていた。 |