花見2
「おいっ、遅いぞ。待ちくたびれちまった。」 「珍しいね。あの林先生がそんなにホームルーム早く終わらせるなんて。」 「その分、しょっぱなから作文の宿題出しやがった。」 「えっ?本当?」 「本当!これから1年間あいつのクラスだと思うとうんざりだよな。」 「ボクも2年生になって、林先生になったらどうしよう・・・。」 「今からそんな心配してどうすんだよ。」 「そうだね。ボク、心配しすぎかも・・・。」 「ところでさ、こうして見てみると桜が綺麗だよな。」 「そうだね。桜を見ると去年のあの日を思い出すね。」 「あれから1年か・・・。長かったようであっという間だったな・・・。」 「うん。」 「あの・・・あかねちゃん・・・。」 「何?蘭ちゃん。」 「ありがとう。あの時、あかねちゃんが私を助けてくれなかったらあのまま私・・・。」 「・・・な、何言ってるの?蘭ちゃん。そんなの気にしないで・・・。私だって蘭ちゃんみたいな親友ができてほんと、嬉しいんだから。」 「ありがとう・・・あかねちゃん。」 「・・・・・・、そ、そうだ。今日は始業式だけで時間たっぷりあるから、花見にでも行かねえか?」 「えっ、天真先輩。今から?」 「別にいいだろ?夜に酒飲んで騒ぐわけじゃないし・・・。」 ふふふ、天真くんったらきっと、何となく間が悪いのをごまかそうとしてるな。 じゃあ、私もその誘いに乗ってみるか。 桜の花、とっても綺麗だもんね。 「そうだね、天真くん、詩紋くん、蘭ちゃん。こんなに綺麗なのは今だけだよ。こんなチャンスを逃す手はないよ。」 「ふふふ。そうだね、私もお花見してきたくなっちゃった。」 「うん。ボクも行くよ。」 「じゃっ、ひとまず家に帰って11時集合ってのはどうだ?」 「でも、お弁当作る時間ないよ。」 「コンビニかどっかで買ってけばいいだろ。」 「そっか、そうだね。じゃあ11時にね。」 「ところで天真先輩。何処に集合するの?」 「おっといけね。場所を決めてなかったな。じゃっ、例の場所ってのはどうだ?桜も満開だしな。」 「例の場所?」 「1年前、俺達が京へ呼ばれたあの場所だよ。」 「・・・・・・。そうだね。そうしよっか。」 「でも天真先輩、学校の中で花見なんてして、怒られないかなー。」 「大丈夫だって、バレやしないさ。」 「うーん・・・。」 「じゃあまたな。」 「うん。また後でね。」 花見なんて久しぶりって気がするなあ。 しかもあの思い出の井戸がある場所か・・・。 あそこは前は神泉苑につながっていたんだよね。 懐かしいなあ。 みんなどうしているんだろう。 頼久さんは相変わらず剣の稽古で忙しいんだろうなあ。 イノリくんは鍛冶師になるんだって頑張ってるだろうな。 泰明さんは陰陽師として忙しく飛び回っているだろうし・・・。 鷹通さんは治部少丞の仕事で忙しいんだろうな。 友雅さんは相変わらず女の人をくどいているのかな。 永泉さんの笛、素敵だったな。 藤姫はどうしているのかなあ。小さいのにしっかりしていたよね。 ・・・・・・。 あっ、いっけない。 もう11時5分前だ! きゃあーっ、遅れる〜。 天真くんにどやされちゃうよー。 |
またまたどれが誰のセリフか分かりませんね。(^^;
あと1回続きます。
まだお花見していないし・・・。
2000.08.16
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