ダマス
ロイ達は山賊を蹴散らしながら、城への道のりを急いでいた。 「ちっ!もう来やがったか。だがそう簡単に城には近付かせねえぜ!!」 ダマスは城への進撃を阻むべく、部下達を次々と城の外へ送り出した。 「ロイ様、村があります。」 「無事だといいんだけれど。ランス、見てきてくれるか?」 「はい。急いで行って参ります。ロイ様もお気を付けて。」 「頼んだよ。」 ランスが村へ足を踏み入れると、1人の少女が彼を出迎えた。 「あのっ!今からお城に向かわれるんですよね?」 「はい、そうですが。」 「これ、少ないですが村のみんなの気持ちです。お役に立てて下さい!」 そう言って少女が手渡したのは5000Gもの大金であった。 「こんなに沢山、宜しいのですか?」 「ええ、私達はこんなことでしかお役に立てませんから。私達も早くお城が取り戻せるように祈っています。」 「ありがとうございます。」 「ロイ様、民家があります。私は中の様子を見て参ります。」 「分かった、マーカス。じゃあ僕はあちらへ行ってみるよ。」 「ベルン兵共が国境を侵し、このリキア城へ攻め込んで来たそうじゃ。諸侯は同盟を組んで迎え撃とうと言うが、何せ相手はあの大国ベルン。頼みのエリウッド様はあのお体・・・心配じゃのぉ・・・。」 マーカスが民家を訪れると、老人が心配そうに言った。 「ご安心を。エリウッド様のご嫡男、ロイ様が城へ向かっておりますゆえ。」 「何と、それはありがたい。どうか宜しくお願いしますじゃ。」 「どなたかいらっしゃいますか?」 ロイが民家へ飛び込むと、1人の女性が暮らしていた。 「あんた達、城へ向かうのかい?」 「はい。」 「お金は大切にしなよ?長い人生、何があるか分からないからね。ムダ使いしてると、後で苦労するかもしれないよ。」 「分かりました。大切にします。」
「エリウッド様、大変です!ボルム山の『賊』共がすぐそこまで・・・。」 「そうか・・・くっ。私がこのような体でなかったら好きにさせぬものを・・・ゴホッゴホッ。」 「おじ様・・・。」 病を患っているにも関わらず無理を続けるエリウッドに、少女が心配そうに声を掛けた。 「リリーナ、お前は隠れていなさい。もうすぐここも戦場になる。」 「いえ、私も・・・私も戦います!」 「馬鹿を言ってはいけない。お前にもしものことがあったら、私はヘクトルに顔向けができん。」 「お父様に?で、ですが・・・。」 「大丈夫だ。ロイも近くまで戻って来ているはず。それまで持ちこたえれば、何とかなるだろう。マリナス!」 先程報告を受けた部下を再び呼び寄せ、エリウッドは命を伝えた。 「ロイ達の元に使者をやり、急を知らせろ!」 「は、は、はいっ。」 ボールスが訪れた民家には、若い男性がいた。 「戦いに勝つにはさ、地形をうまく利用するといいぜ。森にいれば、木々がジャマして敵の攻撃が当たりにくくなるはずさ。」 「肝に銘じておきます。」 「いよいよ城ですね。」 「ロイ様、僕が弓で先制攻撃を仕掛けます。皆さんは後から突入して下さい。」 「分かった。」 ウォルトが離れた位置から、ダマスに狙いを定めた。 ビュンッと空気を裂く音が響き、矢は正確にダマスに傷を負わせた。 「くっ。バカ共が。こんな連中如きに手こずりやがって!」 ダマスが怒りを込めて正面を睨んだ。 続いてウォルトが再び矢を放つ。 「今だ!」 ランスも手槍でダマスを狙ったが、ダマスは軽々と槍をかわした。 「おのれっ!」 ダマスは鋼の斧を大きく振りかぶった。 「リリーナ様、今参ります!」 ダマスの攻撃を受けたボールスが、力を振り絞って鉄の槍を突き出した。 「げっ・・・?つえぇ・・・。」 ダマスはその場に倒れ伏した。 |