プロローグ

記憶の彼方の時代

魔王の闇が夜を満たし

世界は悪夢の中にあった

果てしない嘆きの日々

むなしく見上げる天は暗し

十二の神、天より来たり

邪悪な闇に立ち向かい

光を呼び、魔を焼きつくし

失われし希望が

再びこの世によみがえった

そして今、

無数の昼と夜がめぐり

全ては伝説の中へ


JUGDRAL CHRONOLOGY

ユグドラル大陸史

001 ユン河の西にグラン王国成立
230 共和制への移行
310 領土の拡大。繁栄の時代
440 大司教ガレに暗黒神が降臨
「ロプト教団」の胎動
447 十二魔将の乱
共和国グランの滅亡
448 ガレ大司教、帝位につく
ロプト帝国の成立
449 大静粛
犠牲者十万人以上
452 ミレトスの嘆き
暗黒神へのいけにえとして
多数の子供が火に投じられる
453 エッダの虐殺
犠牲者、数万人にもおよぶ
535 皇族マイラの反乱
611 各地に自由解放軍が興る
632 ダーナ砦の奇跡
解放軍の戦士に神が降臨し
十二聖戦士が誕生する
635 聖戦の始まり
648 ロプト帝国の滅亡
十二聖戦士、
グランベル七公国と
周辺五王国を建設する
649 グランベル王国の成立
757 グランベル国軍
東方の国イザークへ遠征
動乱の幕開け

ユグドラル大陸の中央に位置する大国
グランベルは、十二聖戦士の一人、
聖者ヘイムによって建国された。
この国には
ヘイムの子孫である王家の他に、
やはり聖戦士の血をひく
六つの公爵家があり、
広大な領地と軍隊を有する
公国の当主として、
王国に従属しつつも独自性を保っていた。
王国の政治は
老いたアズムール王に代わって、
才知あふれるクルト王子が取り仕切り、
王子の信任厚い
シアルフィ家の当主バイロン卿が、
ユングヴィ家のリング卿とともに、
これを助けていた。
宰相の任にあった
フリージ家のレプトール卿は、
自分の地位が脅かされることに
危機感をおぼえ、
強欲で知られる
ドズル家のランゴバルト卿を誘って
反王子勢力を形成。
ヴェルトマー家の若き当主
アルヴィス卿は、
国王を守る近衛軍指揮官の立場から
政治には関与せず、
エッダ家のクロード神父だけが、一人、
国の危険な状況に不安をおぼえていた。
そんなおり、
東方より危急の知らせが届く。
イード砂漠の友好都市ダーナが
東の蛮族イザークによって侵略され、
住民が虐殺されたというのである。
蛮族、罰するべしとの声が国中に満ち、
やがて、イザーク討伐の決定が下された。
クルト王子は、
年老いた父王アズムールに代わり、
国中の諸公を率いて出陣。
そのかたわらには常に、
勇壮な武人として知られる
バイロン卿の姿があった。
遠征軍が出た後のグランベルには
わずかな兵しか残らなかったが、
国境を接する西のアグストリアと
南西のヴェルダン王国とは
同盟の関係にあり、
後顧の憂いはない筈であった。
しかしその期待は、
あっけなく裏切られた。
ヴェルダン王国の大軍が
王子ガンドルフに率いられて、
突然、国境を突破し、
ユングヴィ城を包囲したのである。
ユングヴィ城の留守を守っていたのは
その娘、エーディンただ一人。
父、バイロン卿から国の守りを託され
わずかな部下とともに城に残った
シアルフィ公国のシグルド公子は、
この知らせに、愕然とする。
エーディン公女とは幼なじみであった。
「彼女を蛮族の手に
渡すわけにはいかない」
シグルド公子は、
すぐさま出陣の決意をした。
グラン暦 757年・・・
こうして運命の扉は開かれた。
それがやがて
恐ろしい出来事の前触れとなる事も、
この時は誰一人として
知る由もなかったのである。

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