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銀の剣

エバンス軍では、シグルド軍の奮闘ぶりに、ゲラルドが苛立っていた。
ゲラルド 「何、デマジオがしくじっただと!?ガンドルフ王子に城を任されていながら、何の役にも立たねぇ奴だ!くそ、ユン川の橋を直してもう一度攻め込むぞ!」
ゲラルドの命を受け、エバンス軍は次々と城から出て来た。
そしてユン川の橋を修復すると、続々と川を渡り始めたのである。

時を同じくして、ヴェルトマーの若き当主でありアゼルの兄でもあるアルヴィス卿が、シグルド軍の元へと向かおうとしていた。
アルヴィス 「国王陛下から様子を見てくるように言われたが蛮族相手に、こうも手こずるとはな。シグルド・・・貴様もしょせんはその程度の男か・・・。」

エバンス軍の動きをいち早く察知したシグルド達は、橋の手前で敵を迎え撃つ作戦に出た。
狭い橋の前で待ち構えれば、敵は一度に渡って来ることはできないからである。
最前列には堅い鎧に身を包んだ、アーダンが立っていた。
エスリン 「今のうちに傷を塞いでおきましょう。」
アレク 「ありがとうございます。エスリン様。」
南からはヴェルダン兵が攻めて来ていたが、シグルド達はうまく戦力を分散させて見事に撃退していた。
アゼル 「あ、あれは・・・?」
シグルド 「どうしたんだ、アゼル?」
アゼル 「いえ、何でもありません。(まさか、兄上がこんな所に来るはずは・・・。)」
アゼルの見間違えでも何でもなく、やがて姿を現したのは紛れもないアルヴィス卿であった。
アルヴィス 「シグルド公子、久しぶりだな。」
シグルド 「アルヴィス卿!?どうしてあなたが・・・。」
アルヴィス 「陛下が心配されてな。私に見てくるよう命じられた。それと、これは陛下から下されたものだ。受け取ってくれ。」
シグルド 「これは銀の剣!・・・陛下がこれを私に・・・。ああ、何と名誉なことだ。アルヴィス卿、陛下にはシグルドが感謝していたとお伝えして下さい。」
アルヴィス 「承知した。ところでシグルド、弟のアゼルが君の軍に加わっていると聞いたが本当なのか。」
シグルド 「すみません。黙って来たようでしたが追い返せなかった。できればしばらく我が軍にいて欲しいのですが。」
アルヴィス 「そうか・・・いや、無事ならいいんだ。アゼルは母親こそ違うが私にとって、たった一人の大事な弟。できれば、側にいて欲しいが、やむを得ぬだろう・・・。シグルド、アゼルの事を頼む。色々と教えてやってくれ。」
シグルド 「お任せ下さい。この戦いが終われば、私からも戻るように説得してみます。」
アルヴィス 「それを聞いて安心した。では私は王都バーハラに戻る。陛下をお守りせねばならぬからな。シグルド、後は頼んだぞ。」
そう言い残して、アルヴィスは去って行った。
シグルドは賜った銀の剣を感謝を込めて天高く掲げた。

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