働かざる者食うべからず
ユーリが目を開けると、小鳥のさえずりが聞こえていた。 いつの間にか、朝を迎えていたようである。 すると、扉を開けて1人の少年が部屋に入って来た。 少年はユーリに声を掛けた。 「よぉ、おはよう!昨日、捕まったって言うのはお前のことだろ?なぁんだ、子供じゃないか。俺はポール、お前さんの面倒を見ることになったんでな、宜しく。」 「宜しくお願いします、ポールさん。」 ユーリが挨拶をすると、ポールは言葉を続けた。 「さて、朝メシの後には、働いてもらうからな。働かざる者、食うべからずだよ。」 「はい。」 食事を済ますと、ポールはユーリを部屋から連れ出した。 「さあて、お前・・・・えっと名前は?」 「ユーリです。」 「そっか、ユーリか。まぁ、こいつを見てくれよ。うちの仲間はものぐさでね、ボスがあれだから仕方ないが、ここもこの通りさ。」 見ると、辺りは荷物でごった返していた。 「悪いが、ここにある荷物を奥の壁にきちんと、並べといてくれるか?こんな風に・・・・。」 そう言ってポールは、大きな箱を押して動かし、壁にくっつけた。 「ふぅ・・・・・いいか、全部、きっちり壁にくっつけておくんだぞ。」 「はい。」 ユーリが返事をするとポールは部屋を出て行きかけたが、再び振り返ると言った。 「あと、ここに落ちてるロープも集めといてくれ。俺は外にいるから、終わったら、呼びに来るんだ。」 「分かりました。」 するとポールは安心したのか、ユーリを残して外へ出て行ってしまった。 「ふう、これでいいのかな?」 一通り片付けを済ませたユーリは、ポールを呼ぶために外へと出て行った。 見事に片付けられた部屋を見て、ポールは満足したようである。 「おおっ、マジメにやってたみたいだな、感心、感心。」 どうやら、彼はユーリのことをまだ子供扱いしているらしい。 「ちょっと、疲れました。」 息をつきながらユーリが正直な気持ちを漏らすと、ポールは笑みを浮かべて言った。 「まあ、お前さん一人でやったんだからな。飯を食ったら、すぐ寝るといいさ。」 その日の夜、ユーリは部屋で一人、食事をとっていた。 するとポールがやって来て言った。 「悪いなぁ、こんな飯しか用意できなくて。最近は実入りが少ないみたいでな。」 「いえ、これで充分です。ありがとうございます。」 「そうか、じゃ、飯を食ったら寝ていいからな。」 「はい。」 ユーリは食事を済ませると、安らかな眠りに就いた。 |
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2006年9月8日更新