桃花嶺の精霊
「本当に助かりました。ありがとうございます。」 太公望は韋護に向かって頭を下げた。 「いや・・・・・・。」 「宝貝を持っているところを見ると、君も道士なんだね。」 「ああ・・・・・・。」 「まだるっこしいなあ!あんた、何者だよ?」 太公望と韋護のやり取りを見て我慢できなくなったが、2人の間に割り込んだ。 「その人はね、崑崙派の仙人、道行天尊様の弟子だよ。ししょーを手伝いに来たの。」 そう言って姿を現したのは白鶴である。 「白鶴!この人のこと、知ってるのか?」 太公望は驚いて尋ねた。 「うん!道行天尊様にね、この人の紹介を頼まれたんだ。韋護はとても口下手だから自己紹介させると、恐らく一日かかるに違いない・・・・・・って、道行天尊様が心配したんで、あたしが来たって訳なの。」 「ああ・・・・・・。」 そう言って頷く韋護。 「韋護さんはね、自分の体を別の材質に変えられるんだよ。」 「ふうん、それでさっきの神手でも石化しなかったんだね。すごいなあ!」 そう言って目を輝かせたのは黄天祥である。 「それじゃあ、韋護さんのこと宜しくね!また来るね、ししょー!」 「うん、じゃあね、白鶴。」 こうして太公望達に新たな仲間、韋護が加わった。 これにより、彼らは韋護の師匠、道行天尊の洞府に行けるようになったのである。 白鶴が去って行くと、韋護が何かに気付いたように声を発した。 「・・・・・・ん?」 そちらの方へ太公望達も目を向けると、どうやら先程の子供達のようだった。 「さっきの子供達だ・・・・・・。あ、あれ?」 徐々に近付いて来る子供達を見て、太公望は違和感を感じた。 目が一つしかないのである。 「さっきは命を助けられたのである。」 「ありがたい気持ちで一杯なのである。」 2人が次々に礼を述べた。 「き、君達は一体何者なんだ?」 太公望が尋ねると、一つ目の子供達のリーダー格らしき2人が名乗りをあげた。 「桃花嶺の精霊、高党である。」 「同じく、高明である。後ろにいるのは一族である。」 「はあ・・・・・・あ、僕は太公望。崑崙山の道士で、今は西岐に向かう途中なんだ。」 「近頃、急に妖魔が現れて我々の宝貝を狙っていたのである。」 「でも、これでしばらくは安心して暮らせるのである。ありがたいことである。」 「お礼に、この宝貝を贈呈しようと思うのである。定風珠というものである。」 「役に立てて欲しいのである。」 こうして太公望は定風珠を入手することになった。 「ありがとう!これは役に立ちそうだ。」 「これからも、我々にできることがあったら手伝わせてもらうのである。」 「我々は受けた恩は忘れないのである。それでは、さらばなのである。」 そういい残して精霊達はその場を立ち去って行った。 「何だか変な奴等だけど、とりあえず感謝されてるみてえだな・・・・・・。」 が言った。 「よし、じゃあそろそろ出発するか!」 太公望の声が響いた。 |
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◆封神演義◆
2005年8月12日更新