桃花嶺

桃花嶺に辿り着いた太公望一行は、子供達を追い掛けている男を目にした。

「貴様らが宝貝を隠してることくらい、分かってるんだぞ。とっとと出しやがれ!出さねえと、1人ずつ石っころにしちゃるからな!」

4人の子供達は男の言葉を聞いて、慌てて逃げ出した。

「伸びよ、神手!」

男がそう唱えると、2人の子供がたちまち石と化した。

「さあ、次は誰が石っころになりたい?ヒッヒッヒッヒッ。」

男が嬉しそうに笑うと、残りの2人は必死で逃げ回った。

「子供に何てことを・・・・・・。許さん!」

太公望が怒りをあらわにして叫ぶと、男がこちらに顔を向けた。

「んー?・・・・・・ははあ、貴様、姐己様に楯突く崑崙のこわっぱだな?面白え、この妖魔・馬元様の神手でみんなまとめて石像にしちゃる!」

(不用意に近付くと石にされてしまう・・・・・・。慎重に攻めなければ。)

太公望が頭の中でそんな考えを巡らせていると、馬元の背後から1人の男がやって来るのが見えた。

「あ、君っ!危ないよ!早く逃げるんだ!」

「・・・・・・ん?」

太公望の声に反応して彼はこちらに目を向けたが、特に慌てた様子はない。

新たな人間の存在に気付いた馬元は、後ろを振り返った。

「ええい、何だ貴様は!」

「・・・・・・韋護。」

男はたった一言、そう呟いた。

「囲碁だか将棋だか知らねえが・・・・・・まあいい。お前から先に石にしちゃるわ!くらえ、神手!」

「あっ!」

太公望は思わずそう叫んだ。

しかし神手をくらったはずの韋護は、石になることはなかった。

「何っ!?俺の神手が効かない?」

馬元は驚きに目を瞠った。

「・・・・・・ああ、効かないな。」

韋護は平然としている。

「そんな・・・・・・馬鹿な!」

「勝負はこれからだぜ。」

自分達に有利だと悟ったなたは、張り切って言った。

「根性!」

鄭倫もやる気満々である。

「頂きっ!」

なたは飛電槍で颯爽と馬元に攻撃を仕掛けた。

皆も続けとばかりに攻撃を仕掛けていく。

「き、貴様らごときに・・・・・・この馬元様が・・・・・・倒されるとは・・・・・・不覚だ・・・・・・。しかし、何故、効かぬ?何故、俺の神手が・・・・・・。それだけは、納得いかぬ・・・・・・。ぐ、ぐほ!」

そう言い残して馬元はその場に倒れ伏した。

「闇の封印を破りし者よ、永遠の闇へと還れ・・・・・・封神!」

太公望は封神を済ませると、安堵の息を吐いた。

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封神演義