八葉戦隊リュージンレンジャー 第1話

私は元宮あかね。
ピッチピチの16歳。
平凡な女子高生をやっているんだけど・・・最近妙な視線を感じるのよね。
気のせいかな?とも思ったんだけど・・・。

「お嬢ちゃん。」
最近妙な事件が増えているから気をつけないと・・・。
「お嬢ちゃんってば・・・。」
行方不明とか惨殺死体とか・・・。
「そこのお嬢ちゃんっ!」
うわあ〜っ、考えたくない!!
「そこのかわいらしいお嬢ちゃん!」
「え?」
「そう。君だよ君!」
な、な、何?いかにも軽そうなこのお兄さんはーっ!!
「今忙しいので失礼しますっ!!」
私は慌てて走り出した。
「待ってくれってば!別に怪しい者じゃないから!」
いきなり知らない人に声を掛けられて、待つ人がいますかーっ!!

「つーかまえた!」
「きゃあーっ、離してー!んぐ、むぐ・・・。」
「ちょっといきなり叫ぶことはないじゃないか。私が怪しい奴だと思われてしまうよ。」
(むぐ・・・って、口を押さえられちゃ、人攫いだと思われても仕方がないわよー。)
お兄さんの大きな手で塞がれて、私は言葉を発することもできなかった。
「離してあげるから、静かにしてくれる?」
私は変に反抗して危ない目に遭ってはたまらないと、必死で首を縦に振った。
「ふうーっ。思ったより元気なお嬢ちゃんだね。」
お兄さんは大げさにため息をついてみせた。
「実は私はこういう者なんだけど・・・。」
と言ってお兄さんは名刺を差し出した。
「橘探偵事務所所長 たちばな・・・ともまさ?」
「うーん、惜しいねえ。”ともまさ”と書いて”ゆうが”と読むんだよ。素敵な名前だろう?」
何?この人・・・。いきなり自分の名前の自慢をしているよー。
「あのー、探偵事務所の人が何のご用ですか?」
私は不信感丸出しの視線を向けた。
すると橘と名乗るお兄さんは、サササッと私を通りの隅に追い詰めてしまった。
「きゃあっ、何すんのよ!?」
バキッ!
「あうっ!」
私は思わずお兄さんを引っぱたいてしまった。
「ひっどいなあ。いきなり殴るなんて・・・。」
お兄さんは頬をさすりながら言った。
「ちょっと、失礼なこと言わないでよ。私は殴ったんではなくて、軽く引っぱたいただけじゃないのよ。」
「えっ?だって今グーで・・・むぐっ。」
「だから、殴ってなんていないってば。これ以上何かしたら人を呼ぶわよ!」
「待ってってば。私は君の身を案じて・・・。」
と言いつつこのさわさわとお尻の辺りを動き回るこの手はなんなのよぉ!
「きゃあーっ!」
ドカッ!
「あうっ!」
謎のお兄さんは真っ赤な頬を押さえつつ言った。
「それだけ元気ならちょっと一安心かな?」
「えっ?」
先ほどまでの軽そうなお兄さんから一転して、真面目そうな青年に変身したお兄さんは言った。
「単刀直入に言おう。最近君は、妙な視線を感じることはないかな?」
「確かにそうだけど・・・。でもそれって・・・あなたじゃあ?」
「ち、違う、違う!私はずっと、とある奴らを追っていたんだ。そうしたら奴らが最近君の周りをうろうろし始めたんで、様子を伺っていたんだよ。」
「本当に?」
「ああ。これでも私は探偵をしているんでね。信頼して欲しいな。」
うーん、第一印象は悪かったけど、こうして話してみると意外とまともなのかも・・・。
「とにかく、理由は分からないが君は奴らに狙われているようだ。」
「えっ、どうして?それに奴らって・・・。」
「とりあえず君に危険が及ばないよう、私が密かにガードに付くようにするから。」
「えっ?」
お兄さんの顔を見上げた私は、思わず頬を赤らめてしまった。
よく見てみると、背も高くてまるで芸能人みたいにかっこいいのよね。
「それから、何かあったらこの携帯の短縮ボタンを押してくれ。私につながるようになっているから。」
何だか今日知り合ったばかりの人に携帯をもらっちゃったよぉ。

さあ、今回でしゃばって最初に登場したのは地の白虎様でした。
彼にはハチャメチャに活躍して欲しいです。(笑)

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