八葉戦隊リュージンレンジャー 第4話

「嫌ーっ。」
思わず頭を抱えてしゃがみ込んだんだけど、あれ?
何も来ないみたい。
おそるおそる顔を上げてみると、どうやら橘さんと後から現れた男の人が
変身したらしい人物が、仮面の男に向かって攻撃を仕掛けていた。
でもこれって、人物って言ってもいいのかな?
も、もしかして宇宙人とか?
きゃー、どうしよう?
もしかして私って、宇宙人の知り合いができちゃったのかな?
そんなことを考えているうちに、戦いはクライマックスを迎えようとして
いた。
「マグノリアファーン!」
そう言って扇子を投げたのは、銀色の人。
「チェリーナーイフ!」
そう言って短刀を投げたのは緑色の人。
「くそっ、覚えておれ。私は諦めぬからな。」
という捨て台詞を残して、仮面の男は風と共に姿を消した。
うわっ、あれってどうやってるの?
手品か何か?
あの人も宇宙人なのかな?

「大丈夫かい、お譲ちゃん。怪我はないかい?」
あれこれと頭の中で想像を巡らせていると、いつの間にか橘さんが目の前
にいた。
「えっ?だ、大丈夫です。ありがとうございました。」
「何とか間に合ったようで、良かったです。」
そう言って微笑んだのは、後から現れた男の人だった。
「あの、あなた達は一体?」
そう尋ねると、橘さんは真面目な顔で言った。
「そうだね、話が長くなりそうだから場所を移そうか。お譲ちゃんに会っ
てもらいたい人がいる。」

「でも、何か忘れている気が・・・。」
「え?」
「そうだ!砂糖と醤油!」
「ええっ?」
「お母さんに頼まれていたんだった。急いで買って帰らないと!」
「ちょっ、ちょっ・・・大事な話が・・・。」
「じゃあまた今度ね。」
私は2人に手を振ると、さっさと走り出した。
「おーい、待ってくれー!」
後ろから何だか声が聞こえる気がするけど、まあいいか。
私は急いで商店街へと向かった。

「えーっと、砂糖に醤油っと。これでいいわね。こんなに遅くなっちゃっ
て、お母さんに怒られるー。」
買物を済ませた私は、家路を急いだ。
家の前に着くと、突然背後から何かが伸びてきた。
「きゃーっ!」
思わず持っていた袋を振り回しながら、後ろを振り返ると・・・。
「あいたっ。あいたたたっ。」
そう言いながら頭をさすっているのは、何と、橘さんだった。
「ひどいなあ、お譲ちゃん。」
「橘さん?ご、ごめんなさい。」
慌てて頭を下げた私の目に飛び込んできたのは、袋からポタポタと垂れて
いる茶色い水だった。
「ああーっ。醤油がーっ。」
醤油の瓶にはひびが入り、中から液体が垂れていた。
「驚かせてすみません。どうしても会っておいて頂きたい方がいるもので
すから。」
橘さんの隣りの男の人が困ったような顔をしながら言った。
「でも、せっかくの買物が無駄になってしまいましたね。宜しければ、も
う一度買物にお付き合いしますよ。料金の方も、お詫びにこちらの方で支
払わせて頂きます。」
「えっと、あなたは?」
「あ、申し遅れました。私は藤原鷹通と申します。橘さんの知り合いです
。」
「そ、そうなんですか?でもさっき、何だかおかしな姿に変身しましたよ
ね?」
「おかしな姿、ですか?確かにそうかもしれませんが。」
「おいおい、お譲ちゃん。おかしな姿はないだろう?これでも私達は正義
の味方なんていうものをしているんだけどね。」
「せ、正義の味方ぁ?」
まさか、子どもが喜んで観るあの戦隊物とかっていうやつ?
しかも本物?
私の頭の中は一瞬真っ白になった。
「おーい、大丈夫かい?頭を打ったのは私の方なんだけどね。」
はっと我に返ると、目の前で手をひらひらさせている橘さんの姿が目に入
った。
「あ、ほ、本当にごめんなさい。また変な人が来たのかと思って。」
「まあ、仕方がないね。ところで、醤油の方はいいのかい?」
「あ、そうだ。早く買いに行かないと。あー、もう。今日はついてないな
あ。」
「では私達がご一緒しましょう。道すがら、簡単にこれからのことをお話
したいと思います。」
藤原さんの言葉に私は首を傾げた。
「これからのこと?」
「そうです。これはあなたの身にも関わる大事なことなのです。」
「はあ。」
私はよく分からないながらも頷いた。

今回話がちっとも進んでいませんね。
次回は新しい人物が登場するはずです。

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2004年8月20日更新