八葉戦隊リュージンレンジャー 第3話

何だかまた嫌な視線を感じる。
どうして?
どうしてなのよー。
私は自然と早足になっていた。
後ろが気になって振り返ってみたけれど、誰もいなかった。
嫌だよー。
あっ、あそこで曲がって様子を伺ってみるっていうのはどうだろう?
ふとそんなことを思いついた私は、その考えを試してみることにした。
ちょっと探偵気分。
次の曲がり角で私はさささっと曲がって電柱の陰に隠れた。
すると怪しげな男の人が慌てて通り過ぎて行くのが見えた。
やったー。
私って天才?
と、ほっとしたのも束の間、いきなり後ろから腕を掴まれてしまった。
何?
振り返ると先程とは別の男の人が私の腕を掴んでいた。
しかも怪しげな仮面を被っている。
「誰?」
「一緒に来てもらおう。」
「嫌ーーーーーっ!」
私が思い切り叫ぶと、不思議な光と共にその男の人は激しく吹き飛ばされてしまった。
「え?何?」
「その力、やはり危険だな。しかし味方にすれば我らの役に立とう。」
仮面の男の人は立ち上がると、再び私の元へとじりじりと近付いてきた。
「嫌ーっ。」
私はくるりと背中を向けると走り出した。
怖いっ、怖いよー。
夢中で走っていると、ふと携帯のことを思い出した。
本当かどうか分からないけれど、今はこれしか頼るものがなかった。
私は携帯の短縮ボタンを押した。

「どうした?」
すぐに橘さんの声が聞こえた。
「助けてっ、変な仮面の男の人に追われてるのっ。」
私は息を乱しながら言った。
「何だって?今どこにいる?」
「3丁目の朝日荘の近くっ。」
「分かった、すぐに行こう。」
そう言うと橘さんはすぐに携帯を切ってしまった。
そんなにすぐに来られるのかなあ?
とにかく橘さんが来るまで何とか逃げ切らないと・・・。
「大丈夫かっ!」
何と、驚いたことに間もなく橘さんが姿を現した。
こんなに早いなんて・・・。
私は橘さんの後ろに隠れた。
「貴様、邪魔をするか!」
「うら若き乙女を貴様のような変態から守るのが私の使命なのでね。」
橘さんはやや微笑んだ感じで、ふざけたような調子でそう言った。
「貴様如き人間が何をほざく!」
仮面の男の人が右腕を伸ばすと、橘さんが苦しそうにうめいた。
一体何が起こったの?
「くっ。」
どうしよう?
このままじゃ橘さんが・・・。
「そこまでです!」
突然どこからか声が聞こえた。
そして目の前にまた1人の男の人が姿を現した。
えっ?
仮面の男の人の味方だったらどうしよう?
「鷹通!」
「大丈夫ですか?友雅さん。」
そう言ってその男の人は短刀を放り投げた。
直線を描いて飛んだ短刀は、見事に仮面の男の人の腕に命中した。
「くそっ!」
仮面の男の人の腕から鮮血が流れ落ちた。
途端に橘さんが仮面の男の人から離れる。
「何とかな。」
橘さんは少し咳込んでいたけれど、大丈夫みたい。
「何だ、貴様はっ。」
仮面の男は不機嫌そうに言った。
「あなた方のような邪悪からこの地球の平和を守る者。」
後から現れた男の人は、マンガの台詞みたいなことを真面目な顔で言った。
「そうそう。」
橘さんもそれに同意する。
「それでは早速お披露目といくか。」
橘さんは両手を頭上高く掲げると叫んだ。
「リュージーン!」
何?
何なの?
すると橘さんの頭上から稲妻が・・・。
えっ。
何で?
突然激しい雷鳴と共に雷が落ちた?
と思ったんだけど、違ったみたい。
橘さんはピンピンしている。
って、あれ?
橘さんはどこ?
何だか不思議な格好をした人が立っていた。
「リュージンマグノリア!」
続いて後から現れた男の人も同じように両手を頭上に掲げて叫んだ。
「リュージーン!」
また稲妻がその男の人を直撃した。
そしてその人も、不思議な格好をした人に変わっている。
「リュージンチェリー!」
「何?何?何?これって何かの撮影?特撮?」
私は思わず叫んでいた。
もしかして橘さんって俳優さん?
でもよく考えてみると撮影スタッフとかどこにも見当たらないし・・・。
先程までの切羽詰った状況をすっかり忘れて、私は頭の中でそんなことを思い巡らせていた。
「危ない!お嬢ちゃんっ!」
その声にはっと我に返ると、再び仮面の男が迫ってきていた。

遂に鷹通登場!
白虎勢揃いですね。(笑)
しかし変身後の名前ダサすぎ。
名前の由来はもちろんアレです。

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