1236年 再会 ヤーデではパーティーが開かれていた。 「ねー、ギュス様。ホントにボクなんかが来て良かったの?」 フリンが尋ねた。 「気にするな、トマス卿は心の広い方だ。庭でつまみ食いをしてるだけなら、何も言われないさ。」 ギュスターヴには気にしないように言われたが、フリンにとっては居心地が悪かった。 「みんなきれいなカッコしてるよ。なんか恥ずかしいな。」 「お前がそんな格好なのは、ここに呼ばれてくるような連中の責任だ。恥ずかしがる必要があるか!そんな事より、かわいい娘がたくさんいるぞ。お前は、そこらで何かつまんでろ。」 フリンを一喝すると、ギュスターヴは1人の少女の元へと向かった。 「ねえ、君、名前は?」 「いらっしゃいませ。どうぞ、たくさん御召し上がりになってくだ・・・・・・ギュスターヴ?」 ギュスターヴに気付いた少女は、驚いたように言った。 「?なんだ、レスリーか。ここで何してるんだ?」 「私はヤーデ伯の所で行儀作法の修行中なの。」 「行儀作法?お前が?はははは、そりゃトマス卿もケルヴィンも大変だ。」 「何笑ってるのよ。トマス卿には、いつも誉められてるわよ。あんたこそ、また悪さしてるんでしょう。」 「もう、ガキじゃないぜ。なあレスリー、あそこのかわいい娘紹介してくれよ。」 「何で私が!」 ギュスターヴの言葉に顔を真っ赤にして怒るレスリーを見ながら、ケルヴィンがフリンの元へとやって近付いて来た。 「あの二人知り合いか?」 「あ、ケルヴィン。うん、グリューゲルにいた時に。」 「そうか。レスリーはグリューゲルの名家ベーリング家の出だからな。なあ、フリン、ギュスターヴはレスリーのことが好きなのか?」 「え!?いつもケンカしてたけど・・・・・・」 「ふっ、ギュスターヴもガキだよな。」 ケルヴィンが思わず笑うと、フリンは遠慮がちにこう言った。 「・・・・・・ねえ、ケルヴィン。最近、しゃべり方がギュス様に似てきたよ。」 「うっ・・・・・・今朝も、そのことで父上に注意されたばかりだ・・・・・・お前達が馴れ馴れしいからこうなるのだ。私の貴族としての品位が・・・・・・」 そんなケルヴィンの悩みをよそに、相変わらずレスリーとギュスターヴの言い争いは続いていた。 「あー、手で食べないでよ。下品なんだから、もう。」 「こうやって食うのが美味いんだよ。解ってないよな。」 |
2006年10月20日更新