Shining Force III 1


目の前に妖精が姿を現した。
妖精は口に指を当ててしーっ、と言うようにこちらを見つめている。
妖精の側では老人が椅子に腰掛けて眠りについている。
妖精はくすくすと笑うと、老人の顔を叩いた。
老人は目を覚ましたようである。
妖精は老人の側から離れると、またくすくすと笑った。
「お前だったのかアクーユ・・・。いたずら者が・・・びっくりしたぞ。」
老人が口を開くと、アクーユと呼ばれた妖精がその声に答えた。
「イシャハカット様、ご命令通りやっと連れて参りましたわ。フフ、イシャハカット様・・・お待ちかねですよ。」
イシャハカットはあなたに向かって声を掛けてきた。
「そんなに遠くでは話もできん。もっとこっちに寄りなさい。」
あなたがイシャハカットの側に近寄ると、イシャハカットはがっかりしたように言った。
「アクーユや、1人だけなのか?3人のはずなのだがな・・・。」
「1人だけでしたわ・・・イシャハカット様。」
「すると3人まとめて・・・やってもらうしかなかろうな?」
わけの分からないあなたに向かって、イシャハカットは言葉を続けた。
「お聞きの通り手違いがありましてな。あなたには3人分やってもらいたい。何も・・・説明しておらなんだか?」
「探すのに手間取ってしまって・・・あまりにも時間がないんですもの!」
「もう説明しているヒマはない・・・だが名前ぐらい好きにさせてやろう。それは誠実で慈愛に溢れているが、事を交える時魂は激しさに焼かれ虎の獰猛さを解放するであろう。この者シンビオスと言う。その名に異存ないか・・・?」
わけが分からないながらも、あなたは頷いた。
「それは冷静で明敏な頭脳を信条とし、感情に揺るがぬ強固な意志力のもと、風の如く戦場を駈ける竜となろう。この者メディオンと言う。その名に異存ないか・・・?」
再びあなたはその言葉に頷いた。
「それは孤高にして強靭な精神を持ち、冷徹の内なる哀しみ解き放たれし時、正しく鋭い牙をむく狼となろう。この者ジュリアンと言う。その名に異存ないか・・・?」
イシャハカットの問いに頷くと、イシャハカットは1分1秒をも惜しむように言った。
「もう行っておくれ・・・。ええと・・・シンビオスじゃ。」
最後にアクーユの言葉が耳に響いた。
「行けばあなたが何をすれば良いか、必ず分かるようにしておくから・・・。」
こうしてあなたは、異世界で別の人物としての人生を歩むことになった・・・。

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