Shining Force III ◆ 1
目の前に妖精が姿を現した。 妖精は口に指を当ててしーっ、と言うようにこちらを見つめている。 妖精の側では老人が椅子に腰掛けて眠りについている。 妖精はくすくすと笑うと、老人の顔を叩いた。 老人は目を覚ましたようである。 妖精は老人の側から離れると、またくすくすと笑った。 「お前だったのかアクーユ・・・。いたずら者が・・・びっくりしたぞ。」 老人が口を開くと、アクーユと呼ばれた妖精がその声に答えた。 「イシャハカット様、ご命令通りやっと連れて参りましたわ。フフ、イシャハカット様・・・お待ちかねですよ。」 イシャハカットはあなたに向かって声を掛けてきた。 「そんなに遠くでは話もできん。もっとこっちに寄りなさい。」 あなたがイシャハカットの側に近寄ると、イシャハカットはがっかりしたように言った。 「アクーユや、1人だけなのか?3人のはずなのだがな・・・。」 「1人だけでしたわ・・・イシャハカット様。」 「すると3人まとめて・・・やってもらうしかなかろうな?」 わけの分からないあなたに向かって、イシャハカットは言葉を続けた。 「お聞きの通り手違いがありましてな。あなたには3人分やってもらいたい。何も・・・説明しておらなんだか?」 「探すのに手間取ってしまって・・・あまりにも時間がないんですもの!」 「もう説明しているヒマはない・・・だが名前ぐらい好きにさせてやろう。それは誠実で慈愛に溢れているが、事を交える時魂は激しさに焼かれ虎の獰猛さを解放するであろう。この者シンビオスと言う。その名に異存ないか・・・?」 わけが分からないながらも、あなたは頷いた。 「それは冷静で明敏な頭脳を信条とし、感情に揺るがぬ強固な意志力のもと、風の如く戦場を駈ける竜となろう。この者メディオンと言う。その名に異存ないか・・・?」 再びあなたはその言葉に頷いた。 「それは孤高にして強靭な精神を持ち、冷徹の内なる哀しみ解き放たれし時、正しく鋭い牙をむく狼となろう。この者ジュリアンと言う。その名に異存ないか・・・?」 イシャハカットの問いに頷くと、イシャハカットは1分1秒をも惜しむように言った。 「もう行っておくれ・・・。ええと・・・シンビオスじゃ。」 最後にアクーユの言葉が耳に響いた。 「行けばあなたが何をすれば良いか、必ず分かるようにしておくから・・・。」 こうしてあなたは、異世界で別の人物としての人生を歩むことになった・・・。 |