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その頃、グリーンノア2ではガンダムMK-IIがエゥーゴに奪われたことで、動揺が走っていた。

「ガンダムMK-IIがエゥーゴに奪われたって言うのかい?」

女性士官であるシーマが信じられないといった様子で言った。

「そうだ。起動テスト中の不意を突かれた。」

ジャマイカンが答えた。

「それでもティターンズかい?情けない話さね。その調子で地球連邦軍の乗っ取りを企んでいるなんて、お笑い草だよ。」

「ほざくな!我々の矛先を貴様らに向けてもいいのだぞ!」

シーマの言葉にバスクが怒りを込めて言い返す。

しかしシーマは動じなかった。

「・・・・・・・・・フン。ガンダムMK-IIの機体データはちゃんと取ってあるんだろうね。」

「奪われたのは1機だけだ。残りの2機はこちらにある。」

ジャマイカンが言った。

「なら、例の試作4号機のフレームと一緒に、合流ポイントまで持って来てこらおうか。それと、今回の件は上に報告しておくよ。」

「・・・好きにしろ。」

バスクが不機嫌そうに吐き捨てた。

「これ以上の通信は危険だ。切るよ。」

シーマが通信を切ると、バスクが言葉を続けた。

「・・・女狐め。我々ティターンズが黙認しなければ、貴様等など地球圏に戻れなかったものを!」

「全くですな。ところで、エゥーゴに奪われたMK-IIはいかがしますか?」

ジャマイカンが尋ねた。

「例の作戦発動まで時間がない。新型モビルスーツの1機や2機、奴等にくれてやる!それに・・・例の宇宙戦艦とEOTが手に入れば、ジオンの残党やエゥーゴなぞ敵ではない。」

「確かに・・・。」

「・・・コロニーの被害はどうか?」

「負傷者、死亡者の数は不明です。コロニーの復旧には数ヶ月かかります。」

「丁度いい。これを機に、このコロニーから民間人を退去させろ。」

「了解しました。」

すると1人の男が部屋に入って来た。

「カクリコン中尉か。」

ジャマイカンが声を掛ける。

「ガンダムMK-II1号機と2号機の収容を終わりました。」

カクリコンが報告すると、ジャマイカンがカクリコンの後ろに立っているエマを見つけて言った。

「む・・・エマ中尉も一緒か?」

「はい。それと・・・ブライト=ノア中佐をお連れしました。」

「何だと?呼んだ覚えはないぞ!」

エマの思いがけない言葉にバスクは驚いて叫んだ。

「バスク大佐!何故、コロニー内でモビルスーツ戦を行ったのですか?民間への被害は考えないとでも言うのですか!?」

ブライトの噛み付くような言い方に、バスクはブライトを思い切り殴っていた。

「ぐっ・・・な、何を・・・。」

「一般将校は黙っていろ!ここはティターンズの拠点である!正規の連邦軍とはやり方が違う!!」

「しかし、同じ連邦軍であることに間違いはないでしょう?」

「ここは、ジオンの残党と手を組んで反地球連邦政府の運動をやるエゥーゴを倒すための中心基地だ。コロニーの先住民のスペースノイドの都合を考えて、作戦が遂行出来るか!」

「基地化を進めれば進めるほど、逆に反地球連邦の組織を育てるだけです。何故それがお分かりにならないのです?」

「大佐は黙れと言っている!!」

遂にカクリコンもブライトを殴りつけた。

「き、貴様・・・上官に向かって!」

「ここはティターンズと言った。一般の軍律は通用しない。」

「反感を育てておいて何を言うか!!」

(・・・・・・・・・。)

エマは何かを言いたげであったが、黙っていた。

「ブライト中佐。次の任務を命令する。」

ジャマイカンが言った。

(・・・・・・・・・。)

「ティターンズはこのグリーンノア2を軍事基地グリプス2に改造する。直ちに一部の民間人を乗せ、月へ向かえ。」

「な・・・民間人をこのコロニーから強制退去させるつもりなのですか!?」

「聞こえなかったのか?さっさとホワイトベースで、このグリプス2から出て行くのだ。」

有無を言わせぬ言葉であった。

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