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ブライトは、ブレックスと対面していた。

「連邦軍第13独立舞台のブライト=ノア中佐です。」

「私はブレックス=フォーラ准将だ。」

「助けて頂いて感謝しております。グリーンノア2の民間人を乗せていたので、応戦がままならなかったのです。」

ブライトは礼を述べた。

「こちらも、一年戦争の英雄を救うことが出来て光栄だ。」

「いえ・・・そんな。」

「ところで、ブライト中佐・・・何故、艦に民間人を乗せていたのだ?中佐の部隊はサイド7のグリーンノア2に向かっていたとの情報は、こちらでも得ていたのだが・・・。」

ブレックスの言葉を受けて、ブライトが先を続けた。

「そして・・・私はグリーンノア2から強制退去させられた民間人を乗せ、月へ向かう所でした。」

「強制退去!?」

思いもかけない言葉を耳にしたブレックスが、声音を大きくした。

「ティターンズはあのコロニーの軍事基地化を進めるため、全ての民間人を強制退去させるつもりなのでしょう。」

そこへカミーユが割って入った。

「何ですって!?ティターンズは本気でそんなことを!」

「・・・君はガンダムMK-IIを奪った・・・ど、どうしてこんな所に?ブレックス准将、あなた達は一体・・・?」

ブライトには何が何だか分からない様子であった。

そこへクワトロが言葉を続けた。

「我々はティターンズに対抗するため、組織されたエゥーゴだ。ブライト中佐も噂ぐらいはお聞きになっていると思うが・・・。」

「ああ・・・ジオンの残党と手を結び、連邦政府の転覆を企むゲリラ組織だと・・・。」

「それはティターンズが流している中傷に過ぎない。」

「私もそう認識している。」

「そうだな。その表現は、むしろティターンズの方に当てはまるかも知れん。」

(・・・・・・・・・。)

再びブレックスが言葉を続けた。

「そこで・・・私から中佐に頼みたいことがある。」

「何でしょうか?」

「これよりエゥーゴ、そしてアーガマは、ティターンズとの本格的な戦闘に入ることになる。そこで・・・ブライト中佐。このアーガマの艦長に着任してもらえないだろうか。」

(・・・・・・・・・。)

「それに中佐なら、地球圏でいつまでも争っている場合ではないことに薄々気付いていると思うが・・・。」

「・・・エゥーゴの目的は来るべき脅威に備えて・・・地球圏内での争いをやめさせることだと・・・?」

「そう思ってもらって構わない。」

「ホワイトベースと民間人は、我々エゥーゴが責任を持って月まで送り届けるが・・・どうだ?」

ヘンケンが、ブレックスを後押しするように言った。

(・・・・・・・・・。)

ブライトが無言で考え込んでいると、ブレックスが最後のチャンスとばかりに続けた。

「地球にいるご家族の救出も、こちらで出来る限り手を打とう。」

(・・・・・・・・・。)

長い沈黙の後、ブライトは遂に決心を固めた。

「分かりました。地球にいる妻と子供達も、私の選択を理解してくれるでしょう。」

「感謝する、ブライト中佐。」

こうしてブライトは、アーガマの艦長として新たな道を歩み始めたのだった。

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2005年11月18日更新