出会い
僕ラムザ。 えーっとね、3つ。 今日はね、父上とお散歩なんだよ。 嬉しいな。 父上は忙しいからあんまり一緒に遊んでもらえない。 でも今日はマンダリア平原に連れて行ってもらえるんだよ。 大好きなチョコボに会えるかな? ここがマンダリア平原。 僕の住んでいるイグーロスから近いから、時々僕もお散歩に連れて来てもらうんだ。 「わーい!父上!チョコボだよーっ。」 チョコボだあ。 僕もいつか兄上みたいにチョコボの背中に乗ってみたいなあ。 父上はまだ危ないからってチョコボには乗せてくれない。 でも、チョコボにつける名前ももう決めているんだよ。 えへっ、ボコって言うんだ。 「ラムザ、危ないから走るのはやめなさい。」 父上が遠くで呼んでいるのが聞こえる。 でも僕は走って、チョコボの近くに行ってみた。 「ほぎゃあーっ、ほぎゃあーっ。」 「こらっ、こっちに来るなってばっ!」 あれ? 赤ちゃんの声と男の子の声が聞こえる。 近くへ行ってみると、赤ちゃんを抱っこした、僕と同じくらいの男の子が一生懸命にチョコボを追い払っていた。 「大丈夫。チョコボは恐くないよ。」 僕はそう言って、チョコボの近くへ行くとポケットの中のどんぐりをあげてみた。 (食べてくれるかな?) 僕が手を差し出すと、チョコボはどんぐりをパクッと飲み込んで、走って行ってしまった。 「ほぎゃあーっ、ほぎゃあーっ。」 「ティータ、泣くなってば。」 男の子は困ったように赤ちゃんに声を掛けている。 男の子は僕よりも背が高いけど、赤ちゃんを抱っこしていると顔が見えない。 重そうだな。 でも何でこんなところに2人でいるんだろう? 「ラムザ、こんな所にいたのか?」 父上がやって来た。 「その子は?」 「知らない。ここにいたんだよ。」 「名前は?お父さんやお母さんはどうしたのかな?」 父上が男の子に声を掛けると、男の子は泣き出しそうな顔でこう言った。 「ディリータ。この子は妹のティータ。父さんも母さんもいない。死んじゃった。」 「そうか。かわいそうに。見ればこの子はまだ1歳にもなっていないじゃないか。分かった。うちに来なさい。」 「えっ?本当?」 ディリータはびっくりしたみたいだけど、父上の優しそうな笑顔を見て頷いた。 これが僕とディリータとティータとの出会いだった。 |