入園式

いよいよ入園式だ。
幼等部っていっぱい楽しいことがあるんだって。
楽しみだな。
僕は年長組のお姉さんに胸にリボンをつけてもらって、ご機嫌だった。
「ディリータ、幼等部楽しみだね。」
「俺は嫌いだ。」
「えっ、どうして?」
「嫌な奴がいる。」
「でも、喧嘩は駄目だよ。」
「あいつが何も言ってこなきゃ、喧嘩はしない。」
「うーん。」
せっかくディリータと一緒のうりぼう組になったのに、ディリータは楽しくないのかな。
僕は何だか悲しくなってしまった。

入園式で最初に名前を呼ばれたのはちょこぼ組だった。
「いいなあ、ちょこぼ組。」
僕は思わずそうつぶやいてしまった。
「ラムザはチョコボが好きだもんな。」
「うん。僕、兄上みたいにチョコボの背中に乗っていっぱい走るんだ。」
そんな僕の嬉しそうな顔を見て、ディリータはちょっとだけ機嫌を直したみたいだった。
「クラウド・ストライフくん。」
「はい。」
返事をした男の子の方を何となく見た僕は、思いっきり笑顔になった。
「うわあー、ディリータ。あの子の頭、チョコボみたいだよー。」
「くすくすくすっ。」
「ラムザってば。」
おもいっきり思ったことを口に出してしまった僕は、周りから笑われる羽目になってしまった。
返事をした男の子は、真っ赤な顔をして俯いている。
「みんな、静かに!」
ちょっぴり怖そうなちょこぼ組のヴォルマルフ先生の声で、みんな静かになった。
続けて次々と名前が呼ばれていく。

次はいよいようりぼう組の番だ。
「では、お名前を呼ばれたら元気にお返事して下さいね。」
ダーラボン先生がうりぼう組のみんなの名前を呼んでいく。
「ラムザ・ベオルブくん。」
「はいっ。」
僕は元気良く返事をすると、手を上げた。
「ほら、あの子さっきの。」
「ベオルブ家のご子息だったのか。」
「随分と元気の良いご子息だな。」
何だか大人達の声が聞こえるけど、気にしない。
僕の父上は『天騎士』って呼ばれる偉い人なんだって。
だから僕がベオルブの人間だって分かると、みんな僕まで偉い人みたいに思うみたいなんだ。
全員の名前が呼ばれると、僕達はみんなで園歌を歌った。

入園式が終わると僕達はお部屋へ戻って、遊んだり歌を歌ったりした。
やっぱり幼等部って楽しいね。
ディリータも早くそう思ってくれるようになるといいな。

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2005年7月15日更新