喧嘩

お部屋には積み木や絵本、粘土、クレヨン、いろんな物が沢山あって僕はどれで遊ぼうか迷ってしまった。
「僕、ムスタディオ。一緒に遊ぼう!」
早速ムスタディオ君が遊びに誘ってくれた。
「うん。僕ラムザ。こっちはディリータだよ。」
僕達は積み木を高く積んで遊んだ。
「わーい!すごいすごーい!」
すると僕達が遊んでいるのをじっと見ていた男の子が近付いて来た。
「君、ラムザ・ベオルブだろ?僕はアルガス・サダルフェス。君って貴族なのに孤児と一緒に暮らしているんだってね。そいつがそうか?」
「みなしご?」
「どうせそいつ、どこの馬の骨とも知らない平民の子なんだろ?」
「馬の骨?違うよ、ディリータは僕と同じ人間だよ。」
「気を付けた方がいいぞ。そいつはそのうちお前の家を乗っ取るつもりなのかもしれない。」
アルガスの言っていることは難しくてよく分からなかったけど、ディリータの悪口を言っていることは僕にも分かった。
「ディリータは僕の兄弟だもん。そんな意地悪言う子は嫌いだ!」
「ふんっ、そんなやつに味方するのか?君は選ばれた貴族の中の貴族なのに。君はそいつに騙されているんだ。ベオルブの名が泣くぞ。」
ドンッ!
「やめろっ。俺ばかりかラムザの事まで馬鹿にするなっ。」
ディリータがアルガスの胸を押した。
「何をするっ、平民がっ。」
バシンッ!
アルガスがディリータのほっぺたを叩き返した。
「くっそーっ。」
「やめてよー。」
どうしよう。
ディリータとアルガスは取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。
「駄目駄目!」
とうとうダーラボン先生が飛んで来た。
「喧嘩は駄目だよ。一体どうしたんだい?お友達はみんな仲良くしなくちゃ。」
「だってこいつが俺とラムザの悪口を・・・。」
「何だと?平民の癖に、生意気な奴め!」
「はい、もうおしまい!」
再び取っ組み合いを始めてしまいそうな険悪な雰囲気の2人の間に、ダーラボン先生は笑顔で割って入った。
「はい。仲直りの握手をするんだよ。」
でも2人はお互いにそっぽを向いたままだった。
「仲直りしようね。」
そう言って僕は2人の手を取ると、引っ張って強引に握手させてしまった。
本当はディリータの悪口を言われて僕も怒っていたんだけど、せっかく今日から幼稚園なのに、喧嘩ばっかりしていたら面白くないもん。

戻る私立イヴァリース学園幼等部TOPへ進む