第2話
道具屋のノッジと武器防具屋のドルクが、オルテガの家の扉を叩いた。 「お早うございます、奥さん。いよいよ、オルテガさんの旅立ちですね。」 「まあ、ノッジさんにドルクさん、わざわざいらして下さって・・・。」 「いやいや、オレ達にゃ何もできないけど、せめてこれを受け取ってくれ。」 ドルクはかなり立派な作りの兜を差し出した。 「まあ・・・、この兜は?こんな高価なものをいただいても宜しいのですか?」 「遠慮することはないよ、奥さん。オレたちゃ、いつもオルテガさんには大層世話になっているんだからね。 ではこれで失礼させてもらうよ。オルテガさんに宜しく。」 「そんなことおっしゃらずに、是非上がっていって下さいな。」 「いやいや、オルテガさんは旅の支度で忙しいんだろう?それに、家族水入らずのところを邪魔しちゃ悪いからね。」 「本当にありがとうございます。主人もきっと喜びますわ。」 「じゃあ、失礼させてもらいますわ。」 エレンはドルクからもらった兜を大事そうに抱えると、2階へ上がって行った。 「あなた・・・。」 「のう、アルスよ。お前の父、オルテガが・・・、わしの息子が旅立とうとしておるぞ。お前も父に負けぬような立派な勇者になるのじゃぞ。」 |