第13話

アルスは冒険の仲間を探すべく、ルイーダの酒場へと向かった。
酒場だけあって、酒に酔った戦士が目に付いた。
「連れて行くなら、戦士、僧侶、魔法使いの3人がいいぜ。今ルイーダにいる以外の仲間が欲しけりゃ、2Fの登録所で探してもらうんだな。ひっく!」
酒に酔いながらも、その戦士の言うことは最もだと思えた。
(あそこのカウンターは銀行かな?ちょっと行ってみよう。)
アルスはゴールド銀行のカウンターへと向かった。
「愛と信頼のゴールド銀行へようこそ。皆様の大切なお金を魔物などからお守りします。お預かりもお引き出しも、1000ゴールド単位で承ります。勿論手数料などは一切頂きません!アルス様はどんなご用でしょう?」
「あの、すみません。僕、まだそんなにお金を持っていないので、またの機会にお願いします。」
「それでは、またのご利用をお待ちしています。」
アルスが2階へ上がろうとすると、階段の近くに何故かシスターが立っていた。
「1日も早く、世界に平和が来ることを祈っています。」
「何故酒場なんかにいらっしゃるんですか?」
「酒場には様々な方がいらっしゃいます。旅でお疲れの方、傷ついた方など。そういった方々を平等にお救いするのが私達の役目。教会まで辿り着くのが難儀な方もいらっしゃいましょう。そういった方々のために、こちらにお邪魔させて頂いているのです。」
「そうだったんですか。ご苦労様です。」
「ありがとうございます。あなたの旅に神のご加護がありますように。」

アルスは2階の登録所へ行ってみることにした。
「あんたも仲間を探しに来たのかい?」
1人の男性がアルスに話し掛けてきた。
「はい。」
「そうか。ならひとつ、アドバイスをしてやろう。武闘家は素早く攻撃できるし、盗賊は宝探しに便利な能力を持っている。そして商人は道具などを鑑定するのが得意だが・・・、遊び人は本当に役立たずで冗談みたいなヤツだ。もし連れて行きたいのなら、充分に強くなってからシャレのつもりで仲間にしろ。」
随分とひどい言い草だが、遊び人というくらいだから実際そうなのかもしれない。
「ありがとうございます。参考にさせて頂きます。」
アルスは礼を述べると、登録所の方へと歩いていった。
「にゃ〜ん。」
途中で猫が尻尾をピンと立てて、アルスの足元に体を摺り寄せてきた。
すぐ側には吟遊詩人がおり、アルスに向かって微笑みかけると言った。
「勇者が天に選ばれし者なら、賢者は神に選ばれし者。厳しい修行を積んだ者だけが、賢者になれるそうな。」
さすが吟遊詩人だけあって、様々なことに関して詳しいらしかった。
(へえ、神に選ばれし賢者か。さぞかし立派な方なんだろうな。一度お会いしてみたい。)
アルスはそんなことを考えながら、登録所へと向かった。
「ここは冒険者達の登録所。あまたが仲間にしたい人を探し出し、冒険者の名簿に登録して差し上げましょう。名簿に登録しておけば、ルイーダの酒場でその人を呼び出すことができますよ。新しい人を名簿に登録しますか?」
「はい。宜しくお願いします。」
「どんな人をご希望ですか?」
「まずは素早さと強さを兼ね備えた武闘家をお願いしたいのですが。」
「武闘家ですね。でしたら、この方なんていかがでしょうか?」
書類を見せてもらうと、次のような内容であった。

ユン

武闘家

力:

12

性別:

素早さ:

13

レベル:

1

体力: 7
賢さ: 4
運の良さ: 4
最大HP: 14
最大MP: 0

「では、この方でお願いします。」
「アルスさんのお仲間には、王様から特別に激励の品が贈られます。力の種、素早さの種など、5種類の種のうちいくつかを仲間に使うことができます。どの種にするかはアルスさんが決めてもいいし、私にお任せして下さっても結構です。アルスさんが決める場合は、勿論お好きな種を使って頂きますが・・・・・・。私にお任せの場合は、とにかくその時の私の気分でやらせてもらいます。では、ユンさんへの種の使い方はどうしいますか?」
「そちらにお任せします。」
「そうですか。では、任させて頂きます。素早さが3、力が1、運の良さが3、体力が3上がりましたよ。最終的にこのような感じです。」

力: 13
素早さ: 16
体力: 10
賢さ: 4
運の良さ: 7
最大HP: 14
最大MP: 0

「さて・・・・・・。終わりました。なかなか泣き虫さんの方のようですね。では、ユンさんを登録します。宜しいですか?」
「はい、宜しくお願いします。」
「確かに登録しました。これでルイーダの酒場に行けば、ユンさんを仲間にできます。他の人も名簿に登録しますか?」
アルスはその他に以下のような2人の仲間を登録した。

ルーシア
僧侶 力: 7
性別: 素早さ: 5
レベル: 1 体力: 4
賢さ: 13
運の良さ: 6
最大HP: 8
最大MP: 13

ルーシアは頭脳明晰だった。

シリウス
遊び人 力: 6
性別: 素早さ: 7
レベル: 1 体力: 9
賢さ: 4
運の良さ: 15
最大HP: 12
最大MP: 6

シリウスは何と、怠け者だった。
それでもアルスは何故か、このシリウスという遊び人に何か惹かれるものを感じ、仲間として登録したのである。
「他の人も名簿に登録しますか?」
「いいえ。」
「では新しい仲間を登録したくなった時、またおいで下さい。」
仲間を登録したアルスは、仲間に会うために階下へと降りて行った。

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