第15話

「レーベの村にようこそ。」
村では女性がアルス一行を出迎えてくれた。
「よし、まずは情報を集めよう。」
「そうね。」
アルス達は近くの男性に話を聞くことにした。
「町の外を歩く時、怪しげな場所には何かあるかも知れぬ。遠くから見るだけでなく、その場所まで行くことだな。」
「なるほど。それはもっともね。」
ルーシアが言った。
「あれ?あの人何をしているのかな?行ってみようよ、アルスー。」
シリウスに腕を引っ張られ、アルス達は汗びっしょりの男性の元へと向かった。
「何だかあの岩を動かそうとしているみたいね。」
ユンの言う通り、男性は必死になってちょっと大きめの岩を押していた。
「よいしょ、よいしょ。駄目だ・・・・・・。重くて、押してもビクともしないや。」
男性はため息をつくと、額の汗を拭った。
「その岩を動かせばいいんですか?」
アルスが声を掛けると、男性は頷いた。
「ああ、ちょっとそっちの方まで移動させたいんだけどね。」
「代わりましょうか?」
「えっ?君みたいな少年がこの岩を動かせるかなあ?」
「試しにやってみますよ。」
アルスが岩に体を押し付けて力任せに体重をかけると、岩は意外とあっさり動いてくれた。
「やや、すごい!そのチカラがいつかきっと役に立ちましょう!」
「あれ?これ何だろう?」
シリウスが岩の下に落ちていた物を拾い上げた。
「メダル・・・みたいね。」
「良かったらそれは持って行って下さい。私には必要ないものですから。」
「いいの?やったー!」
「シリウスってば。」
ルーシアは苦笑した。
そんなアルス達の様子を見て、1人の老婆が近付いて来た。
「あんたらは旅の人かね。」
「はい。アリアハンから来ました。」
「ほう、アリアハンから来なさったか。まさかあんたも、魔法の玉を探しに来たのではあるまいね。」
「この村に魔法の玉が?」
「私にはよく分からんがねえ。でもこの間も魔法の玉を探しに来た人がいたんじゃよ。」
「そうですか。」
「人は何故皆、見知らぬ土地へ出て行こうとするのかのう・・・。」
呟くように言った老婆の言葉が気になったが、アルス達は他の人々からも話を聞くために、その場を後にした。
「ヒヒーン!」
村では馬が飼われており、元気にいなないていた。
「馬かあ。いいよなあ。」
「シリウスってば馬が欲しいの?」
「だって楽できるしぃ。」
「あっ、そう・・・。」
ルーシアはまたも苦笑した。
「盗賊のカギは手に入れましたか?」
別の男性に話を聞くと、カギについて語ってくれた。
「いいえ。」
「この村の南の森にも、ナジミの塔に通じる洞窟があるとか・・・・・・。噂ではその塔に住む老人が、そのカギを持っているらしいですよ。」
「そうですか。貴重な情報、ありがとうございました。」
アルスは礼を述べると、宿屋の2階へと上がって行った。

そこでは1人の少年が泣きべそをかいていた。
「お兄ちゃん達、冒険者の人?」
「うん。そうだよ。」
すると少年は、アルスの服にしがみつくようにして言った。
「いっぱい、いっぱい魔物をやっつけてね!あいつらがボクのパパとママを・・・。ぐすん。」
「そうだったのか。それは辛かったね。早く平和な世の中になるように頑張るから、君も頑張るんだよ。」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん。」
「じゃあ、レーベの南の森へ行ってみるか。」
アルス達は男性から聞いた場所へと行ってみることにした。

途中でおおありくいに襲われたが、皆で協力し合って倒すことができた。
そして遂に怪しげな場所に辿り着いた。
「ここが怪しいわ。」
ルーシアが辺りを調べてみると、ナジミの塔に通じると思われる洞窟の入り口を発見することができた。
「早速入ってみたいところだけど、みんなさっきの戦闘でダメージを負っていることだし、一度アリアハンに戻ってみてはどうだろうか?」
「そうね。賛成だわ。」
ユンが同意した。
「僕も賛成!もう疲れたよー。」
「じゃあ、みんな同意したことだし戻りましょう。」
ルーシアも同意し、一行はアリアハンへ戻ることになった。

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