第17話
アルスの家でゆっくりと休んだ一行は遂に、岬の洞窟へと辿り着いた。 早速モンスター達が襲ってくる。 「任せて!」 ユンが素早い攻撃を仕掛けた。 洞窟だけあってモンスターと遭遇することも多かった。 「あそこに宝箱があるよ。」 宝箱を見つけたシリウスが、喜び勇んで近付いて行く。 「開けても大丈夫かな?」 「この辺の宝箱には罠は仕掛けられていないと思うけれど。」 ルーシアが言った。 「僕が開けてみるよ。」 「大丈夫?アルス?」 ユンが心配そうに声を掛けたが、アルスは黙って頷くと思い切って宝箱の蓋を開いた。 「薬草だ。」 「良かったわね。私のMPにも限界があるから、いざという時に助かるわ。」 ルーシアが嬉しそうに言った。 更に奥へと進んで行く。 「モンスターだわ。」 ユンの声に皆が身構えると、目の前にいっかくうさぎ2匹とスライム2匹、そしておおがらす2匹が姿を現した。 「ちょっと多いわね。気をつけて。」 ルーシアがそう言った時、異変が起こった。 「シリウス?一体どうしたの?」 シリウスが突然その場に倒れ込んでしまったのである。 「ぐうぐう・・・・・・。」 何と、モンスターを目の前にしながらシリウスは寝息をたて始めた。 「ちょっと!起きてよシリウス!」 「いってーっ!」 シリウスがようやく目を覚ました。 「また遊び人の悪い癖が出たわね。」 「はははっ、ごめんごめん。昨夜ちょっと夜遊びしすぎちゃってさー。」 「って、あなた、アルスの家に泊めてもらったくせに遊び歩いていたの?」 「うーん、だってさあ。久しぶりにゆっくりできたから遊び心がね。」 シリウスは悪びれた様子もなく言った。 「それどころじゃないわ!」 ユンの声に2人は我に返ると、モンスターに対峙した。 幸いアルスとユンの活躍によって、モンスターはほぼ片付いていた。 戦闘が終わると、ルーシアは大きなため息をついた。 「全くもう。アルスってば、何でこんなのを仲間にしちゃったのよ。」 「こんなのって失礼だなー。僕は遊び人道を極めようとしているだけなのに。」 シリウスが大真面目な顔で反撃した。 「遊び人道が一体魔王討伐のどんな役に立つのよ!」 「まあまあ、ルーシア落ち着いて。ほら、また宝箱があるよ。」 アルスの言う方を見ると、そこには確かに宝箱が存在していた。 「今度は僕に開けさせてよ。」 シリウスが宝箱を開けると、中には旅人の服が入っていた。 「これはシリウスが着た方がいいみたいだね。」 「ほんと?アルス。わーい、嬉しいな。」 シリウスはおニューの旅人の服を着てご機嫌だった。 さすがに戦闘続きでは一度で岬の洞窟を攻略するのは無理だったので、一旦アリアハンへ戻って体力を取り戻してから一行は更に洞窟の奥へと進んで行った。 その後の戦闘でもシリウスの遊び人パワーは全開で、ルーシアの額にはしわが寄せられることになった。 にっこり微笑んでいるだけであったり、全く言うことを聞かずに自分の身だけを守っていたり、ふざけようとして転んでしまい、膝をちょっぴりすりむいたりと、様々なことをしでかした。 ユンはそんなシリウスに見ないふりを決め込むことにしたらしい。 そして怒り心頭のルーシアをなだめるのは、もっぱらアルスの役目だった。 そんなこんなのデコボコパーティーではあったが、モンスターとの戦闘を繰り返すことにより徐々に力をつけていった。 そしていよいよ、ナジミの塔へと足を踏み入れたのである。 |