「きゃっ。」
早速じんめんちょうが襲ってきた。
「駄目。マヌーサにかかったわ。」
「僕がフォローするよ。」
アルス達はパーティの利点を活かし、協力してモンスターを倒すと先へと進んで行った。
「フロッガーだ!」
「たあっ!」
「すごいわ、ユン。さすが武闘家ね。」
「会心の一撃かあ。僕も一度やってみたいなあ。」
「シリウスには無理じゃないの?」
「言ったなあ、そのうち僕だって!」
「そろそろアリアハンへ戻ろうか。」
「そうね。そろそろ皮の鎧が買えるし。」
一度アリアハンへ戻ったアルス達は皮の鎧と銅の剣を購入すると、再び冒険の旅へと向かった。「じんめんちょうのマヌーサが厄介ね。」
「メラ!」
アルスのメラがじんめんちょうを直撃する。
「そっかー。呪文ならマヌーサ状態でも平気だもんね。あったまいー、アルス。」
「それに今までルーシアしかホイミが使えなかったけど、アルスも覚えたしね。」
「これで少しは戦いが楽になるわね。」
「代わりにシリウスの遊び人レベルも上がって大変だけどね。」
「ひどいなあ、ユンってば。」
「はははははっ。」
戦闘を繰り返して少しずつレベルアップしてきているアルス達は、ナジミの塔を上って行くことにした。
「ふーむ。うーん。」
おおありくいとの戦闘中、シリウスは何もせずに立ち尽くしていた。
「ちょっと、シリウスってば、何やってるのよ!」
「とりあえず様子を見ておこうと思って。」
「もう!今戦闘中なのよ!」
「ごめん、ごめーん。」
「はあっ。」
ルーシアが何度目かの溜息をついた。
「いよいよ地上部分よ。」
「あれ?こんな所に椅子とテーブルが置いてあるよ。」
「階段もあるね。」
「さっき上がってきた階段とは違うわね。降りてみましょうか。」
「そうしようよ。」
好奇心旺盛なシリウスが、いち早く階段を下りて行った。
「うわっ。」
「どうしたの?シリウス!」
ルーシアが心配そうに階下へ向かって声を掛ける。
「宿屋だよー。」
「えっ?」
まさか塔の中に宿屋があるとは思わなかった一行は驚いたものの、ほっとする気持ちを隠せなかった。
「おお、しばらくぶりのお客さんだ!嬉しいなあ。」
宿屋の主人はニコニコと一行を出迎えてくれた。
「こんにちは。旅人の宿屋へようこそ。1晩8ゴールドですが、お泊まりになりますか?」
「宜しくお願いします。」
「それではごゆっくりお休み下さい。」
「良かったね、これでまた元気が出るよ。」
1晩ゆっくりと体を休めた一行は、次の日元気に宿屋を出発した。
「おはようございます。では、行ってらっしゃいませ。」
宿屋の主人に見送られ、アルス達は塔をどんどん上って行った。
「とうとう4階ね。」
「あーあ、疲れたなあ。」
「本棚があるわ。」
「お転婆事典だって。」
「持って行こうよー。面白そうだし。」
「うーん、いいのかなあ?」
そう思いながらもアルスは、お転婆事典を手に取った。
「ここが最上階みたいだ。」
「あっ、誰かいるよ。」
シリウスの指差す方を見てみると、1人の老人が椅子に腰掛けて眠っていた。 |