第18話

「きゃっ。」
早速じんめんちょうが襲ってきた。
「駄目。マヌーサにかかったわ。」
「僕がフォローするよ。」
アルス達はパーティの利点を活かし、協力してモンスターを倒すと先へと進んで行った。
「フロッガーだ!」
「たあっ!」
「すごいわ、ユン。さすが武闘家ね。」
「会心の一撃かあ。僕も一度やってみたいなあ。」
「シリウスには無理じゃないの?」
「言ったなあ、そのうち僕だって!」
「そろそろアリアハンへ戻ろうか。」
「そうね。そろそろ皮の鎧が買えるし。」
一度アリアハンへ戻ったアルス達は皮の鎧と銅の剣を購入すると、再び冒険の旅へと向かった。

「じんめんちょうのマヌーサが厄介ね。」
「メラ!」
アルスのメラがじんめんちょうを直撃する。
「そっかー。呪文ならマヌーサ状態でも平気だもんね。あったまいー、アルス。」
「それに今までルーシアしかホイミが使えなかったけど、アルスも覚えたしね。」
「これで少しは戦いが楽になるわね。」
「代わりにシリウスの遊び人レベルも上がって大変だけどね。」
「ひどいなあ、ユンってば。」
「はははははっ。」
戦闘を繰り返して少しずつレベルアップしてきているアルス達は、ナジミの塔を上って行くことにした。

「ふーむ。うーん。」
おおありくいとの戦闘中、シリウスは何もせずに立ち尽くしていた。
「ちょっと、シリウスってば、何やってるのよ!」
「とりあえず様子を見ておこうと思って。」
「もう!今戦闘中なのよ!」
「ごめん、ごめーん。」
「はあっ。」
ルーシアが何度目かの溜息をついた。
「いよいよ地上部分よ。」
「あれ?こんな所に椅子とテーブルが置いてあるよ。」
「階段もあるね。」
「さっき上がってきた階段とは違うわね。降りてみましょうか。」
「そうしようよ。」
好奇心旺盛なシリウスが、いち早く階段を下りて行った。

「うわっ。」
「どうしたの?シリウス!」
ルーシアが心配そうに階下へ向かって声を掛ける。
「宿屋だよー。」
「えっ?」
まさか塔の中に宿屋があるとは思わなかった一行は驚いたものの、ほっとする気持ちを隠せなかった。
「おお、しばらくぶりのお客さんだ!嬉しいなあ。」
宿屋の主人はニコニコと一行を出迎えてくれた。
「こんにちは。旅人の宿屋へようこそ。1晩8ゴールドですが、お泊まりになりますか?」
「宜しくお願いします。」
「それではごゆっくりお休み下さい。」
「良かったね、これでまた元気が出るよ。」
1晩ゆっくりと体を休めた一行は、次の日元気に宿屋を出発した。
「おはようございます。では、行ってらっしゃいませ。」
宿屋の主人に見送られ、アルス達は塔をどんどん上って行った。

「とうとう4階ね。」
「あーあ、疲れたなあ。」
「本棚があるわ。」
「お転婆事典だって。」
「持って行こうよー。面白そうだし。」
「うーん、いいのかなあ?」
そう思いながらもアルスは、お転婆事典を手に取った。
「ここが最上階みたいだ。」
「あっ、誰かいるよ。」
シリウスの指差す方を見てみると、1人の老人が椅子に腰掛けて眠っていた。

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