第5話

「誰かと思えばライアン殿か。どうぞお通り下さい。」

「城の守りは我等に任せて、ライアンさんは子供の探索に全力を尽くして下さい。」

城門の兵士に見送られ、ライアンはまずバトランドの城下町で話を聞くことにした。

教会へ向かうと、奥には古いがよく手入れされたパイプオルガンが置かれていた。

長年大事にされてきたのだろう。

慈愛の笑みを浮かべた女神像も置かれていた。

「頼もしき神の僕よ。我が教会にどんなご用じゃな?」

「お祈りをさせて下さい。」

「では神の前にこれまでの行いを告白なさい。」

ライアンは心を落ち着かせるように祈りを捧げた。

「おお神よ!この者に聖なるご加護のあらんことを!アーメン!」

ライアンが教会を出ると、1人の老人が話し掛けてきた。

「わしも若かった頃は王宮の戦士に憧れたものじゃ。このじいもバトランドを守る戦士様の手伝いがしたいんじゃ。どうじゃろう?連れてってはくれぬか?」

「申し訳ないが、それはちょっと・・・。かなりの危険が伴いかねません。」

「やっぱりのう。いや、ムリを言ってすまんかったわい。」

ライアンは町の人々に話を聞くことにした。

(まずはあの戦士風の男に話を聞いてみるか。)

「バトランド王は人柄も良く、国民に負担をかけまいと税金を安くなさっている。しかしその分、兵士達の武器や防具にあまりお金をかけられなしようだ。もっと強力な武器や防具が欲しければ、自分でお金をためて買い換えるといい。」

「ありがとうございました。」

「すまぬが、イムルの村への道のりをご存知ではないか?」

ライアンは近くの女性に尋ねた。

「イムルの村でしたら、お城の西にある洞窟を抜けて北東に歩くと辿り着けますわ。」

「ありがとうございました。」

すると老婆と立ち話をしていた1人の女性がライアンにすがるように近付いて来た。

「私はフレア。夫のアレクスが旅に出たまま帰らないのです。戦士様!もし旅先で夫のアレクスを見かけたら、私に知らせて下さいまし。」

「フレアの夫のアレクスは大の冒険好きでのう。湖に囲まれた塔に行くための手がかりを探しに行ったそうじゃよ。」

老婆が教えてくれた。

「ご婦人、アレクス殿をお見かけしたらお知らせ致しますゆえ、心安らかにお待ち下され。」

「はい、どうかお願い致します。どんな小さな手がかりでもお知らせ頂ければ嬉しいですわ。」

(世の中にはまだまだ困っている人が多いようだ。これは大変だな。)

ライアンはまずより強力な防具を求めて、防具屋へと入って行った。

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