第6話

ライアンが店内に入って行くと、店の主人が声を掛けてきた。

「おや、お買い物ですか?だったら店の外に出てカウンターごしに話し掛けて下さい。こちらは自宅なんですよ。」

「あら、戦士様。子供達を捜していらっしゃるんですよね。魔物だって町の中にまでは入って来られないんだから、魔物に子供はさらえないはずよ。でもだったらどうやって、子供達がいなくなるのかしら?気味が悪いわね・・・・・・。」

防具屋の奥さんの言う通りであった。

ということは、子供達は町の外へ遊びに行ってからいなくなったと考えるのが妥当であろう。

2階では防具屋夫婦の息子なのであろう。

少年が無邪気に話し掛けてきた。

「子供がいなくなるってホント?でも僕はもう子供じゃないから大丈夫だよねっ。」

どう見てもまだ子供であったが、本人は自分はもう大人の仲間入りをしていると思っているらしかった。

「子供ばかりがいなくなるとは限らないぞ。君も気を付けた方がいい。」

「ふうん。じゃあ気を付けるよ。」

ライアンは一度外へ出て、防具屋の品揃えを見てみることにした。

「ようこそ防具の店に。ご用は何でしょう?」

「店の品物を見せて頂きたいのですが。」

「お買い上げですね。どれになさいますか?」

「とりあえず今回は見せて頂くだけにして、次回買い物をさせて下さい。」

「他に何かございますか?」

「いいえ。」

「ありがとうございました。またお出で下さいませ。」

次にライアンは道具屋へと向かった。

「ここは道具屋です。どんなご用でしょう?」

「品物を見せて頂けますか?」

「どれをお求めですか?」

店には薬草と毒消し草、聖水が置かれていたが、ライアンは今回はやはり購入しないことにした。

「他にご用はありますか?」

「いいえ。」

「ではまたのお越しをお待ちしています。」

ライアンが武器屋へ入って行くと、店の主人が元気に出迎えた。

「ここは武器の店だ。どんな用だい?」

「品物をお見せ願えますか?」

「何を買うかね?」

「もう少しお金をためてから参ります。」

「そうかい。他にも用はあるかね?」

「いいえ。」

「また来てくれよなっ!」

(もしかしたら宿屋へ行けば別の情報が仕入れられるかもしれないな。)

ラインは宿屋へと足を向けた。

「こんにちは。旅人の宿屋へようこそ。一晩4ゴールドですが、お泊まりになりますか?」

「まだこれから行く所があるので、またにさせて下さい。」

「さようなら、旅の人。またお立ち寄り下さい。」

宿には頭にターバンを巻いた男が泊まっていた。

商人か何かだろうか?

ライアンは早速話を聞いてみることにした。

「さらわれた子供ねえ。イムルの村へ行けば何か分かるんじゃないんですか。だって子供の神隠しってイムルで起こってるんでしょ。ならまず、イムルへ行くべきっす。」

確かにその方が詳しい話が聞けそうだった。

(もう少し話を聞いていくか。)

ライアンは念のため、民家で話を聞いてからイムルに向かうことにした。

「ライアン殿!知っておるか?作戦には戦歴というものがあってのう・・・・・・。それを見れば、自ずと己の戦いぶりが分かるそうじゃぞ。」

残念ながら、子供達の情報を入手することはできなかった。

ふう。

ため息をつきながらふと井戸の中を覗き込むと、深い底には水がたまっていた。

(まさか、井戸に落ちたわけではないだろうな。)

ふと不安を覚えた。

(最初からこんな風ではいかんな。教会で心を落ち着けていくことにしよう。)

ライアンは教会で祈りを捧げ、心を落ち着かせた。

「ではお気をつけて。神のご加護のあらんことを。」

神父に見送られ、ライアンは町の外へと出て行った。

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