第11話

途中の洞窟でライアンは、1人の戦士に出会った。

「困ったぞ・・・・・・。どうやら道に迷ったらしい・・・・・・。」

道に迷ったらしい戦士にライアンは声を掛けた。

「どちらへ行かれるのですか?」

「イムルの村だ。」

「それでしたらそちらを・・・。」

ライアンは親切み道順を教えてやった。

「これは助かった。ありがとう。」

戦士は礼を述べると、ライアンとは逆の方向へと歩いて行った。

バトランド城に辿り着いたライアンであったが、さすがに夜遅い時間帯では王に謁見することはできなかった。

「王にご報告ですかな?だが急ぎの報告でなければ、明日にして頂きたい。昼間は多忙ゆえ、夜ぐらいは王にはしっかり身体を休めて頂きたいのだ。」

そう言って門番に引き止められた。

「城には入れますが王には会えませんよ。夜の決まりっす。」

「分かりました。謁見は明日にさせて頂きます。」

とりあえず城の中に足を踏み入れたライアンは、明日まで待つことにした。

「ふーむ・・・・・・。調べれば調べるほど似ておる。」

何やら熱心に考え込んでいる老人が気になり、ライアンは彼に話し掛けた。

「一体どうなさったのですか?」

「近頃の天候はその昔、魔物達が荒れ狂った時代にそっくりじゃわい。」

「そうなのですか?」

「うむ。間違いない。良くないことの前兆でなければ良いのじゃが。」

ライアンも老人と一緒に平和を願いつつ、引き続き城内を歩いていた。

すると行方不明の子どもの母親がすがり付いてきた。

「あの子のことを考えると夜も眠れなくて・・・・・・。ああ、戦士様。どうかどうか・・・・・・。」

「分かりました。1日も早くお子さんが見つかるように努力しましょう。」

「お願いします。戦士様。」

「ふぅー、やれやれ。お城の見回りも楽じゃないな。」

見回りの兵士は少々疲れ気味の様子である。

ライアンが歩き回っているのを見て、他の兵士達が声を掛けてきた。

「王様は既にお休みだ。」

「今夜は宿にでも泊まって、明日また来るといい。」

ライアンが2階へ上がって行くと、床に寝ている兵士が突然大声で叫んだ。

「ぬお〜!出たな!怪物共め!」

そしてむくりと起き上がるとそのまま立ち上がり、辺りをキョロキョロと見回した。

「はっ・・・・・・・・・・・・。何と、夢であったか・・・・・・。」

そう言って我に返った兵士は、そのまままた寝てしまった。

兵士としてはとんでもないことであるが、余程疲れているのだろう。

(そういえば、アレクスさんのことをフレアさんに知らせなければならないな。)

ライアンはイムルの村で出会ったアレクスのことを思い出し、フレアの元へ行ってみることにした。

遅い時間ということで迷ったのだが、フレアはなかなか寝付けなかったのかまだ起きていた。

「え?夫のアレクスが盗みを働いてイムルの村の牢屋に・・・・・・。ああ、何てことでしょう。信じられないわ。アレクスが盗みを働くなんて。どうか戦士様!この私を夫の元まで連れて行って下さいませ!」

「分かりました。」

こうしてライアンは、フレアをアレクスの元へと案内することになったのである。

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