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「確かこの辺りだったな。」
見事なサファイア色の竜の背中にしっかりとつかまったルークは、じっと目を凝らした。
「あっ、あのおはなだよ!」
スターサファイアはその花をそっと口にくわえた。
「ありがとう。まま、よろこぶよ。」
「さて、家の近くまで送ってやろう。」

スターサファイアの背中から降りたルークは、名残惜しそうに言った。
「またあえるよね?ふぁい。」
「もちろんだ、ルーク。私もルークに会いたいからね。」
「わぁい!ぜったいだよ。」

ところがその後、ルークはスターサファイアに出会うことはなかった。
ルーク達の住んでいた村にも戦乱が訪れようとしていたからだ。
人々は皆、安全な地を求めて旅立って行った。
ルークの母親とて例外ではなかった。
「いやだよ、ぼくここにいる!」
何故この土地にこんなにこだわるのか、母親には決して理由を話すことはなかったが、ルークは引っ越すことに激しく抵抗した。
しかししょせんはたった5つの子ども。
母親の言うことに、泣く泣く従うしかなかった。

スターサファイアは幾日もルークの住んでいた村の辺りを旋回し続けた。
人間の目には決して捉えられないような上空を飛んでいた。
しかし人間の数倍の視力を持つ竜にとっては地上の様子を捉えることはたやすかった。
やがてスターサファイアは、人間達が村を去ったことを知った。
(ルークか・・・。もう一度会ってみたかったが・・・。)
そうは思ったものの、スターサファイアにはこの土地を去るつもりは全くなかった。
この土地は竜騎士ガルドとの思い出の地であったからだ。
(ガルド・・・・・・。)
スターサファイアは勇ましい竜騎士の姿を思い描いていた。

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