6
何日か歩き続けて、ようやくルークは首都ラスティアへと辿り着いた。
(やっぱり大きいなあ。)
ルークの住んでいたキャンドルの町も大きな方ではあったが、ラスティアに比べると雲泥の差であった。
辺りはいろいろな店が並んでおり、人混みでごったがえしている。
ルークはお守りのペンダントを懐へとしまい込んだ。
(父さんの形見か。そういえば、父さんがどんな人だったのか母さんに聞いたことなかったな。家を出る時も、慌ただしく出て来ちゃったし・・・。)
父親の姿を想像しながら歩いていたルークは、突然後方に跳ね飛ばされた。
「いってー。」
クラクラしながら立ち上がると、目の前に身長190cmはあろうかという大男が立っていた。
「おい、てめぇ。どこ見て歩いてるんだ!」
「あっ、すみません。ちょっと考え事をしていたもので・・・。」
素直に謝ったルークであったが、相手は納得してはくれなかった。
「考え事だぁ?そんなものはお家に帰ってからしな、坊や!」
「何だってぇ!?」
坊やと言われてついカーッとなってしまったルークは、体格差も考えず、相手に飛びかかった。
「おっ、何だ?やる気かぁ?」
身長160cmにも満たないであろう小柄な少年を見下ろして、男は相手をコテンパンにのしてやろうと思ったらしい。
しかし、ルークはすぐに冷静さを取り戻していた。
「あれ?何処に行った?」
男の目の前から少年の姿が消えていた。
ルークは素早く男の背後に回り込むと、足を伸ばして男の足をすくった。
どうっ!
男は激しい音と共に地面に倒れてしまった。
「何だ何だ?ケンカか?」
「おい、面白そうだぞ。」
突然始まった騒動に、周りの人々が集まって来た。
(まずいっ!)
ルークは人混みにまぎれてその場を立ち去った。
後には、一体何が起こったんだといった様子で辺りを見回している男だけが、取り残されていた。

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