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(あーあ、やっちゃった。竜騎士たるもの、常に冷静でいなきゃいけないのにな。)
ルークはようやく落ち着ける路地へと入り込むと、自らの行動を反省していた。
普段は温厚で穏やかな感じのルークであったが、こと身長や容姿に関して何かを言われるとカーッとなってしまうことがあった。
先程のような”坊や”も禁句だった。
竜騎士を目指すルークにとって、身長が低いこと、そして童顔でどちらかというと少女のような顔立ちであることは、マイナス要因であった。
自分でもそれは分かっている。
だからこそ、それを克服しようと日々、努力を重ねているのだ。
しかしいくら頑張ったところで、持って生まれたものはどうしようもない。
その分、自らの長所を活かして弱点を補っているのだ。
普通の人間だったらとっくに竜騎士になることなど諦めていたかもしれない。
しかしルークは常に前向きだった。
自らの欠点を素直に受け止め、長所をより伸ばすべく頑張ってきたのである。
確かに先程のようなことがあると時折暴走してしまうことがあったが、いざ戦いとなると、不思議と冷静になれる自分がいた。
(これからは気をつけよう。竜騎士になるために・・・。まずは試験を受けないとな。)

ラスティア竜騎士隊の立派な建物の前に立ったルークは、門番を務める騎士に向かって尋ねた。
「あの・・・。私は竜騎士隊への入隊を希望するルーク・マハティアと申す者です。入隊試験を受けるにはどのようにすれば宜しいのでしょうか?」
門番はルークを頭の先から爪先まで眺めると、何か言いたそうにしていたが、義務的な口調でこう言った。
「試験は3日後に行われます。朝5時より受け付けを開始するので、参加希望の方はこちらに並ぶようにして下さい。」
「どうもありがとうございました。」
ルークが礼を言って立ち去ると、残された2人の門番は、かわいそうにといった様子でルークの後姿を見送った。
「本当に試験を受けるつもりか?」
「まだ子どもじゃないのか?」
「背なんて160もないくらいだぞ。」
「ああいう、竜騎士に憧れる少年は多いんだ。仕方ないさ。」
「まあ、すぐに自分が身のほど知らずだって分かるだろうさ。」

自分が噂の的になっていることとは露知らず、ルークは希望に満ちた未来を夢見ていた。
(試験は3日後か。それまでに少し体を鍛えておいた方がいいかな?よし!頑張るぞ!)
試験までの3日の間、ルークは町から少し離れた森の中で一人で鍛錬を積むことにした。
ラスティア竜騎士隊は各国の竜騎士隊と比べても、最高の位置に属するものであった。
かなり狭き門だと聞いていた。
試験は年に1回。
受験者は1000人は下らないと言われている。
その中で試験に合格し、栄えあるラスティア竜騎士隊に入隊できるのは良くて10人。
才能のない者、基準に満たない者はどんどん振り落とされ、時には合格者が1人も出ないことさえあるらしい。
それだけラスティア竜騎士隊への道は険しく、だからこそ、少年達の憧れの的なのである。
(どんな試験が待ち構えていようと、僕は必ず入隊してみせる。父さん、応援していてね。)
ルークは懐から取り出したお守りを握りしめると、改めて固く誓った。

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