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「引き続き2次試験を行います。」 2次試験は体力テストのようなものであった。 種目は敏捷性、腕力、持久力、瞬発力などをバランス良く測ることができるような物が選ばれていた。 小柄なルークは腕力や持久力といったものには縁遠かったが、幼い頃より鍛えていたお陰で、人並みの体力は持ち合わせていた。 そして何より、敏捷性、瞬発力に関しては群を抜いていた。 それが効を奏したのであろうか、ルークは2次試験にも合格することができた。 「3次試験は明日、7時より行います。番号札を忘れないように、そして時間に遅れないよう、この場所へ集合して下さい。以上。」 さすがにこれだけの人数相手となると、試験も1日では終わらないようだ。 ルークは近くに宿を取ると、明日に備えて早目に体を休めることにした。 そろそろ寝ようかとベッドに横になっていると、宿屋の主人が遠慮がちに扉をノックしてきた。 「お客さん申し訳ありませんが、相部屋をお願いしても宜しいでしょうか?」 「ええ、別に構いませんけど・・・。」 「ありがとうございます。なんせ、年に1度の竜騎士隊入隊試験だってんで、各国から試験を受けに来た人間で町中の宿屋は一杯なんですよ。」 「すみません。私はサージ・カートと申します。本日は宜しくお願い致します。」 スラリとした美丈夫が手を差し出してきた。 「こちらこそ。私はルーク・マハティアと申します。あなたも竜騎士の試験を受けに?」 「はい。」 「それでは私は明日の準備があるのでこれで・・・。」 宿屋の主人はそう言うと、忙しそうに部屋を出て行った。 相部屋になったサージは17歳であった。 竜騎士というよりも吟遊詩人といった感じだなというのが、第一印象だった。 そしてサージもルークを一目見て、まさかこんな子どもが竜騎士に?という印象を持った。 しかしお互いに嫌な感じは持たなかった。 すぐに打ち解けると、互いの身の上や竜騎士に対する思いを語り合った。 サージはラスティアから50kmほど離れた高原に住む部族の出身だった。 偶然にもルークと同じく、幼い頃竜騎士に命を助けられたという彼は、自らも竜騎士になって弱き者を助けようと決心したのだそうだ。 「さあ、明日も早い。もうそろそろ寝るとしよう。」 サージに促され、ルークは眠りについた。 翌日、2人は早目に朝食をすませると試験会場へと向かった。 サージは252番なのでルークとは違うグループだった。 「また会えるといいね。」 ルークはサージににっこりと笑いかけた。 「ああ。お互いに頑張ろう。」 2人はそこで別れた。 |