10
3次試験は剣や槍を使った実技試験だった。
くじ引きで対戦相手が決められ、1人5戦ずつ戦うことになった。
この試験では勝ち負けよりも、いかにして戦うか、武器をうまく扱えるか、などが選考の基準となっていた。
「これは・・・。」
ルークの戦いぶりを見ていた竜騎士隊隊長の1人が感心したように言った。
「小柄ながら、自らの長所を活かしてうまく立ち回っているな。」
「そのようですね、ラッド殿。」
別の隊長が相槌を打つ。
「何よりもあの目がいい。」
「・・・目、ですか?」
「ああ。ああいう目をした若者は良い騎士になるだろう。是非とも育ててみたいものだ。」

小柄なルークを見て、相手も油断していたのだろう。
思ったよりも楽に勝利することができた。
小柄なことは確かに不利ではあるが、敵の油断を誘うという点では、意外と長所でもあるのかもしれなかった。
さすがに最後の相手には思い切り跳ね飛ばされたが、それでもルークはひるむ様子を見せなかった。
「そこまで!」
「はあ・・はあ・・・。どうもありがとうございましたっ!」
乱れた息を整えると、ルークは他のメンバーの試合に目をやった。
こうして客観的に見ていると、いろいろな性格が見えてくる。
ただただ力任せに攻撃する者、相手の調子を狂わせて変則的に攻撃を仕掛ける者、冷静に状況を見極める者と様々だ。
(へえ、面白いな。)
これまで1人で鍛錬を積んできたルークにとって、人間同士の駆け引きを見ることは楽しかったし、何よりも勉強になった。
他人の試合を見ている間も、ルークは乾いた大地に水が染み込むように、多くのことを吸収していった。

「それでは第3次試験合格者の発表を行います。」
「1番・・・18番・・・32番・・・45番・・・49番・・・以上です。」
(やったのか!)
何と、まだ3次予選であるというのに、ルークのいるグループは既に10分の1にまで人数が減っていた。

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