盗賊の森
「気をつけて。ここは盗賊の森と言われている場所だ。」
ルカがそう言った時だった。
「おいおい、いいカモがやって来たぜ!」
「どうやらお子様ばかりみたいだな。」
「野郎ども、やっちまえ!」
どこからか突然盗賊達が現れた。
「行くぞ!」
ルカの動きはさすがに速かった。
彼はすぐに近くのアーチャーに槍で突きかかった。
「おらおらあ!」
盗賊が向かって来た。
「みんな、なるべく近くに寄って、離れないようにしよう。」
「分かった。」
「盗賊達、随分いっぱいいるじゃないか。大丈夫かなー。」
「そんなこと言ってる暇ないだろう、クリフ。」
「くそっ!」
「すごいや、アルム。ようし、俺だって!」
僕とロビンは続けて近くの盗賊を倒した。
アーチャーはなかなかの手練れだったが、ルカによって倒された。
続けてもう一人もルカによって倒されて行く。
ロビンもまた一人の盗賊を倒した。
僕もほとんど反射的に、斬りかかって来た盗賊を倒す。
「あと一人だな。」
「俺様のかわいい部下達をよくも倒してくれたな、小僧どもが!」
盗賊がクリフに斬りかかる。
「うわあ〜っ、死んでたまるかあーっ。」
クリフが必死になって反撃する。
「クリフ、大丈夫か?」
僕はクリフを助けに入った。
「うん、大丈夫だよ。うわあーっ!」
「く、くそーっ、この俺様がやられるとは・・・・くっ・・・・。」
盗賊は動かなくなった。
「やったな、クリフ。」
「えっ、俺が倒したの?嘘みたいだ・・・。」
「アルムが助けてくれたお陰だな。」
「あっ、うん。アルム、ありがとう。」
「いや、僕は当たり前のことをしただけだよ。クリフだって、僕が同じ目にあっていたら助けてくれただろう?」
「クリフだったら逃げ出していたかもしれないけどな。」
「ひ、ひどいなー、ロビン。」
「はっはっははははは・・・・。」
みんなの笑い声が響く。
しかし、僕の気持ちが晴れることはなかった。
仕方がないこととはいえ、また人を殺してしまった。
僕は・・・・・・・・・・・・・・・・・。
みんなの笑い声がまるで別の世界から聞こえてくるようだった。
「アルム、どうした?」
そんな僕の様子に気が付いたのか、ルカが声をかけてきた。
「い、いえ、何でもありません。」
「まだ気にしているのか?仕方がないことだ。ああいった輩を倒さないことには世の中で苦しんでいる民を救うことはできない。」
「・・・はい。でも、話し合いですませることはできないのでしょうか?」
僕の言葉を聞いて、ルカさんは一瞬辛そうな表情を見せた。
「話し合いで解決するなら、とっくに平和になっている・・・。」
そうだ。ルカさんだって好きこのんで戦っているわけじゃない。
それは分かっている。
分かっているけれど・・・・。
その日、僕は眠れない夜を過ごした------------------